大人の褒めたい、子どもの褒められたいのすれ違い
マンガのように、大人の気持ちと子どもの気持ちがすれ違ってしまうことはしばしばあります。このような経験をした子どもに話を聞いてみると、
「自分はほかにもいろいろなことをがんばっているのに、それは褒めてもらえない」
「褒められるのは、大人の言う通りにしたときだけ」
「うまくできていないのに褒められて、嫌だった」
などと語り出すことがあります。子どもが褒めてほしいと思っているところと、大人が褒めたいと感じるところが、一致していないことがあるのですね。
あっさり褒められたほうがうれしい子どももいる
これは自閉スペクトラムの特性がある子に限らず、ほかの子どもにも、私たち大人にも当てはまる話です。
例えば仕事をしていて、自分がいいと思っていないことを上司に褒められたときには、相手の欲目が見え隠れしますよね。うれしさよりも、「この人は自分にこういうことをしてほしいんだな」という期待を強く感じることがあります。そういうとき、心から喜べるかというと、微妙なものです。むしろ「この人は思い通りになったときにしか人を褒めない」と感じて、相手に反感を持ってしまうこともあります。
子どもが褒められたがっているのかをよく見る
一方で、自分で「今回は本当によくできた」と思っているときに褒められると、「この人は自分の努力をちゃんと見てくれているんだな」と感じます。そういう場面では、大げさに褒められても恥ずかしい思いはしないかもしれません。また、「よかったね」と軽い一言をもらえるだけでもうれしいものです。
子どもを褒めるときにも、そのくらいの感覚で考えるのがいいのではないでしょうか。その子自身が得意だと思っていること、よくできていると感じていることに目を向けて、その点をピンポイントで褒める。その子がうれしそうにしているなら、思い切り褒めてもいいかもしれません。恥ずかしさがあるようなら、「上手だね」と一言伝えるくらいにしてもいいと思います。褒めるときにも「子どもをよく見ること」が重要です。