大谷翔平選手のMVP受賞シーンに登場した愛犬が注目を集めている。写真家で愛犬団体の理事の犬丸美絵さんは「コーイケルホンディエという犬種で、これからペット市場で人気になる可能性が高い。しかし、安易な犬種ブームがもたらしてきた負の側面も知ってほしい」という――。
「かわいいから欲しい!」が招く不幸せ
米大リーグの大谷翔平選手が2度目のMVPを受賞というおめでたいニュースと共に、1頭の犬が話題になっています。おとなしく大谷選手の隣に座り、発表の後に2人でハイタッチ! 一躍「時の犬」となっている犬種は、オランダ原産のコーイケルホンディエ。ふさふさのしっぽを揺らしてカモの気を引くのが仕事だった狩猟犬です。
オランダが第2次世界大戦の戦渦に巻き込まれたことで、一時は絶滅寸前まで数が減りました。現在も世界的に希少な犬種ですが、愛好家たちの努力により少しずつ増え、日本では1年で100頭前後増えています。純粋犬種の犬籍登録や血統証明書の発行を行っている愛犬団体ジャパンケネルクラブ(JKC)によると、同団体での2022年の新規登録頭数は、全犬種合計31万1054頭中の155頭でした。
「かわいいから欲しい!」「大谷選手と同じ犬が欲しい‼」「はやりの犬が欲しい!!!」――。そう考える人も少なくないでしょう。しかしこれまで日本には、話題の犬に熱しやすく、気持ちは冷めやすい人々が、安易に話題の犬種を買って安易に手放してきた、悪しき犬種ブームの歴史が多々あります。
子供の時からずっと犬と暮らし、犬写真家になった私は、現在は写真撮影とともに、犬たちの幸せを願い、犬のすばらしさや心の豊かさ、命の大切さを伝える活動を行っています。今回の大谷選手と愛犬のことが、大切なことを伝えるいいきっかけになるのではと思い、私はインスタグラムで犬たちの気持ちをイラスト付きで発信しました。その内容を、ここでもう少し詳しくお話しします。