出会いはPTA主催の歓迎会、娘のクラスメイトの父親だった

なるほど。相手とはもしかして、そこで?

「はい……」

また身近なところで。すでに修羅場の予感大である。

「PTAの会議や行事には、夫婦揃って参加する人も多いんですが、私の夫は土日も仕事なので、私はいつも1人で参加していました」

相手との出会いのきっかけを教えてもらおう。

「娘が中学校に入学してから、PTA主催の歓迎会のような催しがあったんです。いつものように夫は不参加で娘と2人、出席しました。その時、同じクラスの女の子のお父さんが1人で参加していて、珍しいなぁって思ったんです。小学校の時から知ってるんですけど、いつも共働きの奥さんと一緒だったから。それで『奥さん、今日はどうなさったんですか』と聞いたら、実は奥さんが会社で大出世して、それを機にご主人は激務だった証券会社を退職して、自宅でデイトレーダーをしながら家事全般を担当することになった、というんです。びっくりしました」

横断歩道に立つスーツ姿の男性
写真=iStock.com/monzenmachi
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最近はそういう夫婦の在り方も珍しくない。特に在宅勤務が普及したせいもあり、働き方はこれからもっと変わってゆくだろう。

ただ、夫婦が顔を突き合わせる時間が長くなれば揉め事も多くなる。これは自然の摂理である。

「その時彼から、いざ家のことをしようと思っても地元のことをあまり知らないので、スーパーの安売り情報や子どもの習い事、PTAの人間関係とか色々教えてくださいと言われて、ラインを交換したんです」

ママ友にはない安心感があった

彼も自分で決めたこととはいえ、いきなり家事全般を受け持つのはやはり戸惑いもあって当然だ。もしかしたら、家事なんて誰でも出来る、と甘く考えていたところもあったのかもしれない。この時代になっても、家事の分担に対して理解度の低い夫はまだ多い。

IDを教えることに躊躇はなかったのだろうか。

「少しはありましたけど、内容も大したことじゃないし、身元もはっきりしているし、感じのいい人だったし」

それは彼に好印象を持ったと理解していい?

「そうですね。夫は職業柄、体育会系なんですが、彼はあまり男男してなくて、態度も穏やかだし、話し方も丁寧で、年も同じだったから、何となく安心感がありました。その時は異性の友人が出来たという感じでした。ママ友もいないわけじゃないですけど、やはり女同士だと気を遣うし、ライバル心もあったりするでしょう。そういう意味で、彼には心のうちを素直に話せてホッとできたんです」

そんな彼に、男として惹かれてゆくことを、どの辺りで意識したのだろう。

「やはりラインです。最初は情報を教えてあげるだけだったんですが、ひと月ほどたった頃には毎日のように交換するようになって、そういうことじゃない話もするようになっていました。それでだんだん仲が深まっていったっていうか」