店舗を「個室サロン」にした理由

では、そうした仕組みは、いったいどのように設計すればいいのでしょうか?

最近、僕が作る店舗は基本的に全て「個室サロン」にしています。

FCの場合、途中加盟の店舗もあるので、個室にならない場合もありますが、今後、僕はできる限り個室の店舗を増やしていこうと考えています。

新型コロナウイルスの影響で、お客様は「非接触」を求める傾向がありますから、今後、個室のサロンはますますクローズアップされることでしょう。

例えば、経営者の中には、次のようにおっしゃる方がいらっしゃいます。

「個室サロンを作りたいから、ぜひ北原さんのお店を参考にさせていただきたい。個室って、お客様目線で最高ですよね」

たしかにおっしゃるとおりで、お客様目線で見ると、個室サロンは非常に魅力的と言えるでしょう。

しかし、僕の本当の狙いは、実は違うところにあります。

ですから「お客様目線で最高ですね」と言われると、生意気かもしれませんが、「大事なことを見落としているな」と感じてしまいます。

なぜ、個室にこだわるのでしょうか?

客の髪を洗う美容師
写真=iStock.com/kokouu
※写真はイメージです

個々で仕事を完結させる仕組みを

僕が個室サロンにこだわるのは、従業員が「個々で仕事を完結させる仕組み」を作りたいからです。

個室にして、施術のスペースを区切ってしまうことで、「従業員同士がコミュニケーションを取らなくても機能する仕組み」を作り上げています。

先の記事で「人間関係が大事だからこそ、あえて距離を詰めないという考え方が大事である」という主旨の話をしましたが、個室にすることで、従業員同士の「適切な距離」を保つことができるのです。

このスタイルであれば、管理者は基本的に不要です。

また個室サロンにすることによって、従業員のストレスレベルを極限まで削減することもできます。

なぜ個室にすると、従業員のストレスを減らすことができるのでしょうか?

例えば、個室の場合、自分が使ったところだけを掃除して、片づけが終われば帰宅できます。

他人が汚した場所を片づけたり、仕事を終えるのを待っていたりする必要がありませんから、余計なストレスがなくなります。

何より、美容師は技術職です。

隣の人の仕事が目に入ると、「どうしてそんなカットにするの?」といった形で、どうしてもイラッとしてしまうことがあります。