管理者を置くことで「意思決定」のスピードも落ちてしまう

また管理者を置くと、会社をスケールさせるスピードだけでなく、意思決定のスピードも遅くなります。

以前に勤めていたサロンで、僕は3つの店舗を管理するエリアマネージャーでしたが、たった3店舗であっても、何かを決める際には、必ず各店舗の店長の承認をもらわなければなりませんでした。

「こういうことをやろうと思うんだけれども、意見を合わせられる?」

何をやるにしても、そうした形で必ず店長に意見を聞いていました。

各店舗に管理者である店長が置かれていると、その意見を聞かざるをえませんが、意見の擦り合わせには、どうしても時間がかかってしまいます。

そうすると意思決定のスピードも遅くなり、アイデアを実行するのがワンテンポ、ツーテンポと遅れてしまうことになるのです。

なぜ、ディアーズは時代に取り残されずに、食らいついていくことができるのでしょうか?

それは僕のトップダウンで迅速に決定を下し、全ての案件にリーチをかけていくからです。

僕が他の誰よりも、ディアーズの将来のことを考えています。

誰よりも詳細にデータを分析し、誰よりもディアーズ全体を見渡しているのは、僕です。

時代の波にのまれずに、食らいついて行くために

たしかに現場の意見というのは、とても貴重です。

ですが、その一方で、現場の店長や従業員というのは、あくまでも店舗経営の「一側面」しか見ることができません。

何が言いたいのかと言うと、店長や従業員が考えつくレベルのことは、僕自身がすでに考えているということです。

従業員時代、僕はマネージャーとして「キッズカットをやめるべきだ」とオーナーに提言しましたが、1人の従業員の意見によって、その提案が却下されてしまいました。

美容室の椅子に座ってこちらを見ている子供
写真=iStock.com/sturti
※写真はイメージです

客観的な数字を見れば、キッズカットをやめるというのが合理的な判断であったはずですが、現場の意見を優先して、経営者が経営判断を下すのはよくあるケースです。

もちろん、僕はその決定自体を否定するつもりはありません。

否定はしませんが、変化の激しい時代において、現場の意見を調整しながら意思決定をしていると、時代の波に取り残されてしまうことになりかねません。

ディアーズでは、僕がトップダウンで全ての決定を下すようにしています。

だからこそ、時代の波にのまれずに、食らいついて行くことができるのです。