中国経済はこれからどうなるのか。国際政治学者の舛添要一さんは「習近平は民間の自由な経済活動を阻害している。このままでは、一時的に危機は回避できても、最終的には中国経済の破綻は免れない」という――。

反日キャンペーンでむしろ孤立する中国

最近、中国から多くの懸念材料が届いている。福島原発の処理水海洋放出については、中国は、日本の水産物の輸入を全面禁止するなど、理不尽とも言える反日キャンペーンを行い、かえって国際社会の反発を呼び、孤立している。

また、先に解任された秦剛外交部長(外務大臣)に続いて、李尚福国防部長(国防大臣)の動向も不明になっている。習近平政権内部で一体何が起こっているのか。

さらに、経済では不動産業界の不振が伝えられている。今やGDP世界第2位の経済大国であるだけに、中国の不振は世界経済にも大きな影響を及ぼす。

それがどれくらい深刻なのか、検討してみたい。

中国のGDP成長率が激減している

これまで中国のGDPは年7〜8%程度上昇するのが普通であったが、その中国経済が今や深刻な不調に陥っている。IMFのデータで詳しく見てみよう。

鄧小平が1978年に改革開放路線を打ち出して以来、中国経済は急速に成長し、2010年にはGDPで日本を抜き世界第2位に躍り出た。

その2010年の中国の経済成長率は10.61%であった。

その後も、2015年までは7%以上の成長率が続いた。2016年が6.85%、2017年が6.95%、2018年が6.95%であり、依然として高水準であった。

2019年は5.95%であったが、年末に新型コロナウイルスが流行し始め、2020年は2.24%と急落した。2021年はその反動で8.45%となったが、2022年にはゼロコロナ政策で都市封鎖が行われ、2.99%に激減した。