「バブル崩壊時の日本」と同じ政策を取っている
今の中国不動産業の不振を見ていると、バブルが崩壊した30年前の日本を思い出してしまう。
不動産価格が高騰する状況に対し、1990年3月、大蔵省が金融機関に対して総量規制という行政指導を行った。その対策は、不動産向け融資の前年比伸び率を総貸出の前年比伸び率以下に抑えるという内容であった。
その結果、金融機関による「貸し渋り」「貸し剝がし」が生じ、資産デフレ、バブル崩壊へとつながっていった。
習近平政権は、30年前の日本と同じような政策を採用し、不動産会社の借り入れ規制を実行に移している。
習近平が設けた「3つのレッドライン」と「総量規制」
まず2020年夏には、「3つのレッドライン」を設置した。
具体的に、(1)総資産に対する負債の比率が70%以下、(2)自己資産に対する負債比率が100%以下、(3)短期負債を上回る現金を保有していること、という3つの規制を設けている。
次に、2021年1月には、銀行の住宅ローンや不動産企業への融資に「総量規制」を課した。
借金でマンションを作り続けるという不動産業界のこれまでのビジネスモデルが立ち行かなくなり、資金不足のために途中で建設工事を中断する事例が続出している。その結果、代金を払ったにもかかわらず、新築マンションを入手できなくなった多くの国民の不満が爆発している。
中国社会では、富める者とそうでない者との間の格差が拡大している。それは、万人が平等であるという共産主義社会が理想とするものではないため、この問題に対応するために、習近平は「共同富裕」をスローガンにした政策を展開している。
不動産業界への規制強化もそのためである。