なんとなく口にした言葉が相手を不安にしてしまう
例えば、あなたが何かを頼まれたとして、どちらの言葉の方が素直に聞けますか?
「あなたでいいからお願い」
「あなたがいいからお願い」
言葉上はたったの1文字ですが、受ける印象はかなり違いますよね。
「あなたでいい」の「で」には、諦めのニュアンスが含まれます。受け取る方は、言葉の意味よりニュアンスを受け取ることで不愉快な感情が生まれ、行動もそちらに引っ張られやすくなります。
気がきく人は、この言葉選びをしっかり意識的に行っています。
言葉だけではなく、そこに含まれるニュアンスにも気に留めて、邪魔になるものは言い換えるようにしています。
例えばあなたが営業職で、お客さまにA、B、Cの3つの商品を紹介するとしましょう。これを説明する際に、
「ABCとあるのですが、今のお話を聞く限り、Aでいいと思いますよ」
と伝えると、相手からは高確率で「そうですか……もう少し考えてみます」と返ってきます。なぜなら、不安になるからです。説明する人(プロ)が、「Aでいい」と少し陰を感じる言い方をしたことで、それを選んでいいのか自信を持てなくなってしまうのです。
日本語はたった1文字でニュアンスが変わる
これは、伝える側が相手からその言葉を引き出してしまっているとも言えます。
「ABCとあるのですが、今のお話を聞く限り、Aがいいと思いますよ」
たった1文字を変えているだけですが、この方が、Aのよさやそれをすすめる人の自信が伝わります。それが安心感となり「それにしてみようかな」という気持ちや行動につながりやすくなるのです。
ほんの1文字が大きな力を持つのが日本語です。
言葉選びはニュアンス選び。1文字にこだわって、ニュアンスを味方につけましょう。