会社内の人間関係は微妙で難しい。よかれと思ってやったことが、かえって不評を買ってしまうこともある。伝わる表現アドバイザーで産業カウンセラーの山本衣奈子さんは「例えば、『いただきものは2倍にしてお返しする』という人がいます。感謝の気持ちを示すつもりが、意図せずして相手にプレッシャーや負い目を感じさせてしまうことがあります」という――。

※本稿は、山本衣奈子『「気がきく人」と「気がきかない人」の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

チョコレート
写真=iStock.com/Funwithfood
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気がきく人は人のために情報を集め、気がきかない人はネタのために情報を集める

「持っていくと喜ばれるもの」と聞いて、あなたならどんなものを思い浮かべますか?

お菓子やお花、相手がほしがっていた物など、色々と浮かぶかと思いますが、実は「情報」も喜ばれるものの1つです。

情報を集めようと思ったとき、検索サイトにまずキーワードを入れる人が多いのではないかと思います。そのキーワードに関連した情報を集めることはもちろんできますが、頭に浮かんでもいないキーワードを検索することはできません。

つまり、自分の力だけでは、自分が知ろうと思った情報しか手に入れられないのです。

だからこそ、気がきく人は「情報」に敏感で、大事にしています。人に会うときには、ずと言っていいほどその人が喜ぶ情報を探して持っていきます。

とはいえ、情報なら何でもいいわけではありません。ポイントは“相手が喜ぶ情報である”ということです。

例えば、次のような2人だったら、どちらの人にまた会いたいと思いますか?

・いつも楽しい情報や知りたかったことを教えてくれる人
・いつも悲しい話や暗い話、嫌味や誰かの噂話などをする人

ほとんどの人が前者を選ぶのではないでしょうか。

知人に、とても多くの人に慕われている社長がいます。職種や立場、年齢や性別や国籍などの垣根がまったくなく、その場であった知らない人とも、すぐに仲よくなって打ち解けてしまうという不思議な魅力のある人です。仕事でも、彼を紹介したいという人が後を絶たず、ほぼ紹介のみでびっしりスケジュールが埋まっているような状態です。

彼と関わりのある人はみんなこう言います。

「あの人と話すと楽しい」「あの人は色んなことを教えてくれる」「困ったとき、あの人なら何か知っているんじゃないかと思って、一番に思い浮かぶ」

その社長は、自分の専門分野以外にも様々な情報を持っていて、知りたいことのヒントをもらえるだけではなく、話をするだけで視野が広がっていく気にさせてくれる人です。

どうやって情報を集めているのかと気になっていた折、行動を共にする機会があり、気づいたことがありました。誰かがふと口にした言葉などをとてもよく覚えているだけではなく、目や耳にする情報を、誰かにつなげられないかとつねに意識しているのです。

例えば、イベントの告知ポスターを見かけると、「○○さんが最近こういうのに興味あるって言ってたんだよね」と言いながら写真を撮ってすぐに送ります。美味しい料理を食べると、「この食材はこういう風にも使えるんだね」と言って、教えてもらえる範囲でお店の人にレシピを聞きます。「自分で作ってみるんですか?」と聞くと、「いや、知り合いにパーティーメニューのアイデアを聞かれていたから、今度教えてあげようかなと思って」と言いながらメモをしていました。

つねに頭のどこかに、「この情報は誰の役に立つかな」という意識があるのです。

つまり、誰かを思い浮かべてから情報を探すのではなく、情報を見つけてからそれにつながる誰かをイメージしています。

もっと言えば、その情報が誰かの「役に立つ」「喜ばれる」ことを目的として集めているので、誰かが少しでも「嫌な気持ちになる」情報は、あまり目に入っていないようでした。

喜ばしくない情報を嬉々として集めてネタにすることで、本人は楽しそうである一方、その人の周囲からはどんどん人が離れていってしまっているケースも残念ながらよく見かけます。

「情報」は適切に使えば人と人をつなぐ架け橋にもなるものです。「情報」の価値をもっと大事にして、“喜ばれる人”になることで、人づきあいは気持ちよくもっと広がっていきます。

★気がきく人は、情報から人を結びつける!