イランで独走するトーメン
グローバルな戦略を立て、水も漏らさぬ体制で資源獲得に邁進する中国に対し、日本はどうか?
日本企業が海外で取り組んでいる大型プロジェクトの中に、イランの巨大油田であるアザデガン油田開発と、サハリンの石油・ガス田を開発する「サハリン2」がある。
前者はプロジェクト総額が約26億ドル(約2600億円)、後者は同202億ドル(約2兆200億円)という巨大案件だ。この2つは、日本が抱えるエネルギー政策の問題点を象徴的に示しているので、最近上梓した『エネルギー』の中で、三井物産の子会社がエネルギー・デリバティブで中国企業を手玉に取った事件と共に、主要なテーマとして扱った。
1999年に発見されたアザデガン油田は、イラン南西部フゼスタン州に位置する推定埋蔵量260億バレルという超弩級の油田である。
これに飛びついたのが、当時、主要な天下り先であるアラビア石油のカフジ油田(ペルシャ湾)の権益延長交渉が難航し、「日の丸油田」喪失という失態の瀬戸際にあった通産省(2001年1月から経済産業省)だった。
アザデガン油田の優先交渉権は、2000年11月に、当時のハタミ大統領が来日したときに日本側に与えられた。新聞などでは、開発権獲得のために、荒井寿光通産審議官や河野博文資源エネルギー庁長官などがイラン入りして話し合いをしたと報じられている。