採用の現場の最新の面接術はどうなっているか
面接のあり方について自戒を込めて語るのは建設関連会社の採用課長だ。
「二次のオンライン面接では、コミュニケーション能力も抜群で論理的思考力もある。将来有望だと思ったので、最終の対面での役員面接に推した。ところが、本人は緊張しているのかガチガチになり、オンラインの面接の時とは違い、しどろもどろの受け答えしかできない。役員から鋭い質問を浴びせられても答えられず、結局、落とされてしまった。役員からお前らの目は節穴かと嫌みを言われたが、そうは思わない。面接のやり方も含めて学生の良さを引き出せずに緊張させてしまった会社のエラーだと思っている」
最近はそうした反省も含めて、いかに学生を緊張させないか、緊張していればそれを解きほぐすことで、その人の持つ個性や資質・能力を引き出して見極めようという姿勢が主流になっている。もちろん学生に緊張を強いる上から目線の圧迫面接などは論外だ。
通信関連企業の人事担当役員は「面接では学生の個性をできるだけ確認するようにしているが、そのために最終の役員面接では緊張させないようにさまざまな工夫をしている。面接が始まる5分前に人事の人間が学生と語り合うアイスブレークの時間を設けている。その後、面接会場に案内するが、部屋のドアは必ず開けておく。そして私が立って迎え、入ってきた学生に「どうぞ」と、椅子に座るように勧め、少しでもリラックスできるように心がけている」と語る。
また、最終面接は希望する人は対面で行うが、オンラインでもOKにしている。
「むしろオンラインだから見えてくる学生のパーソナリティもある。会社の会議室で行う面接は学生にとってはアウェーだが、自宅でのオンライン面接はそれこそホームなので安心できる。例えば画面の背後に自分の趣味に関するものを飾っていたりすると「それは何?」と聞いて会話も弾む。ホームだから意識してセルフプロデュースする学生もいるが、それはそれで評価すべきと考えている」(人事担当役員)
昔と違い、内定を得ても辞退する学生も増えている。それでなくても少子化による採用難がますます深刻化している。企業が学生を選ぶ時代から、学生に選ばれるにはどうすればよいかを考えなければいけない時代にシフトしている。
面接のあり方も学生に寄り添った工夫が必要になる。部屋に入った瞬間に“こいつは採用、こいつはダメ”というような強気の姿勢はもはや時代遅れというしかない。