定着しつつある「採用直結型インターンシップ」。2025年卒学生の採用活動も水面下で活発化している。人事ジャーナリストの溝上憲文さんが企業の人事担当者にインターン中の学生のどの部分をチェックしているか取材した――。
リクルートスーツに身を包んだ学生たちが面接の列に並んでいる
写真=iStock.com/Moment Makers Group
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インターンシップ就活の勝ち組・負け組

学生情報を採用活動に使用できるインターンシップが2025年卒学生から政府の方針で解禁になった。といってもインターンシップに参加した学生を早期に囲い込む「採用直結型インターンシップ」はコロナ前から始まっており、政府が追認したにすぎない。

また、政府が認定する汎用的能力活用型インターンシップは5日間以上、かつ期間の半分は就業体験を行う必要がある。それ以外はインターンシップと名乗ってはいけないのだが、1day、2dayの仕事体験と称したインターンシップも横行している。

リクルートが公表した「2025年卒インターンシップ・就職活動準備に関する調査」(今年9月時点)によると、「5日以上のインターンシップ等のキャリア形成支援プログラムに参加した経験のある学生は18.4%と少ない。そのうち、上記の政府が認定するインターンシップ(5日以上など)に参加した人は38.2%にすぎない。

もちろんこんなに少ないはずはない。近年ではインターンシップ参加を大学のキャリアセンターが積極的に推奨し、9割の学生が参加しているといわれる。同調査でもインターンシップに参加した学生の割合は85.2%に上る。しかも1~2日のプログラムに参加した学生が85.1%を占めている。実態としては1~2日程度のインターンシップを含めて玉石混淆の状態にある。

また、「採用直結型インターンシップ」の公認を受けて、インターンシップへの参加が事実上の採用選考になり、今年は例年よりも早くなっているという。

小売業の人事担当者はこう語る。

「就活の早期化が一層進んでいる。とくに大手企業の中にはインターンシップの事前エントリーが始まる3年生の4月以降から学生に接触し、自社のインターンシップに誘い込む企業も登場した。採用直結になったことで夏期インターンシップが実質的な採用選考になり、インターンシップで内定を出すことはないにしても、気に入った学生には『君と一緒に仕事をしたい』とか『うちの会社にきなさい』と、シグナルを送るなど、選考モードに入っている」