相手の心を掴む会話ができる人は何をしているか。エグゼクティブ・コーチの林健太郎さんは「リーダーには、最初に自分の意見を表明するときに『私は』と前置きのひと言をつけて多様性を担保するスタンスが必要だ。しかし、日本人の多くはこの主語を意識して使えていない」という――。

※本稿は、林健太郎『できるリーダーになれる人は、どっち? 話し方・考え方・聞き方……「ここ」で差がつく!』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

会議中に意見を述べるために手を挙げる人
写真=iStock.com/Drazen Zigic
※写真はイメージです

「それについては、Aだと思います」ではまだ言葉が足らない

本書ではこれまで、「自分の意見を、臆せず、はっきり言いましょう」と訴えてきました。

ここで、逆に「自分の意見を強く主張したいとき」のスタンスについて触れておきたいと思います。

アメリカでは「自己主張はするけれど、それだけで終わるのではなく、相手の意見も尊重する」という文化があります。

私は、これがまさに「リーダーになれる人」のスタンスだと思っています。

「私の意見はこうです」と、自分の意見をハッキリと伝えたあとに続けて、次のように言える人が「リーダーになれる人」です。

「皆さんはどう思いますか?」

自分の意見を主張してただ押し通すのではなく、続けてすぐに周りの意見を聞く姿勢を見せることが大切です。これが、少し古い言葉で言うと「合議制」、最近の言葉で言うと「共創型の組織運営」の入口になります。

そのため、最初に自分の意見を表明するときに、忘れてはいけないことがあります。

それは、「主語を省略しない」ということです。

「それについては、Aだと思います」

ではなく、

「それについては、私はAだと思います」

と言うのです。

この「(あくまで)私の意見ですが」という前置きのひと言が、とても重要なのです。

この前置きによって、「これは私の意見なので、もしかしたら他にも別の意見があるかもしれませんが」という多様性を担保できるのです。

英語だと“This is my take.”とか、“As far as I’m concerned.”などの言葉をつけます。

英語では、自分の意見を主張するときの慣用句のようになっていますが、日本でこの前置きを意識して使っている人は正直まだまだ少数派だと感じます。

ですから、まれにこれができている人を見ると、「あっ! この人は自分の意見を主語を省略せずに伝えたあとで、周りの意見も聞く姿勢ができている」と感心します。

こんなリーダーが増えれば、日本のビジネスシーンも大きくさま変わりすると私は信じているので、こんなリーダーが増えますようにとささやかな祈りを捧げています。