ライフネット生命保険副社長 岩瀬大輔(いわせ・だいすけ) 
1976年、埼玉県生まれ。東京大学法学部卒。大学在学中に司法試験に合格。ボストン・コンサルティング・グループ、リップルウッド・ジャパンを経て、ハーバード経営大学院に留学。日本人では4人目となる上位5%の優秀な成績(べイカー・スカラー)を収める。卒業後、出口治明とともに準備会社の設立に参画し、副社長に。 

4Pとは商品(Product)、流通(Place)、販促(Promotion)、価格設定(Price)からなるマーケティングのフレームワークである。よく知られたものだが、ここでもおのおのの「P」で何にフォーカスし、何をやらないかを決めることが重要である。

ライフネット生命のマーケティングについて、4Pの視点から解説してみよう。商品(Product)については前回述べたとおり、掛け捨ての保険のみを取り扱い、貯蓄型の保険は切り捨てている。

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顧客ゼロからスタート。どんなマーケティング手法を取るべきか?

流通(Place)についてはインターネットを通じた販売に特化しており、書類による申し込みは受け付けていない。

実は販売チャネルをネットに一本化するにあたって、社内で議論があった。当初、私は書面での申し込みも受け付けてよいのではないかと主張した。なぜなら、ネットを使わない、あるいは得意でない人の中にも、潜在顧客はいるはずだからである。とくに年齢層が高いお客さまからは「書面で申し込みたいのですが……」といわれることがある。

立ち上げたばかりの生保会社で、保険に入ってくれるお客さまを探すのは大変なことである。そして、ネットに一本化するのは当社の都合である。せっかく向こうから「加入したい」といってくれるお客さまがいるのならば、書面での申し込みを受け付けてもかまわないのではないか――。