まず相手の立場に立って考える

<strong>ライフネット生命保険副社長 岩瀬大輔</strong>●1976年生まれ。ハーバード経営大学院に留学し上位5%の優秀な成績を収める。近著は『生命保険のカラクリ』。
ライフネット生命保険副社長 岩瀬大輔●1976年生まれ。ハーバード経営大学院に留学し上位5%の優秀な成績を収める。近著は『生命保険のカラクリ』。

辞書で引くと、〈ほめ殺し=実質以上にほめそやすことで、相手を不利な立場に追いやること〉(『三省堂国語辞典』)とあります。東大在学中に司法試験に合格、外資系コンサルティング会社を経てハーバードビジネス・スクールに留学、帰国してネット生保を立ち上げ副社長になった、という経歴をクローズアップされると、そのための材料にこと欠かない人物に見えるかもしれません。でも幸い、そういう目に遭ったことはないのです。誰かから恨みを買う非道な行為をしたならともかく、ビジネスの世界で表立ったほめ殺しはあまり効果がないと思います。いやな相手なら無視するか近づかなければいいだけですから。

少し違うのがネットの世界です。以前から実名でブログを書いているのですが、批判的なコメントがつくことは日常茶飯事で、それこそリアルな世界におけるほめ殺しに近いかもしれません。そこでお題を少し読み替えて、その場合の対応策についてお話しします。

最初に心がけるべきは、相手の書いた内容をよく読んで吟味すること。肝心なのは頭から否定してかからず、その人の属性や立場、書いた動機まで考え、相手はなぜ自分と違う意見を持つに至ったかをしっかり見極めることです。

なかには単なる人格攻撃のように感情的なものもあります。それには反応はしません。そんなものに関わりあうほど人生は暇ではないのです。そうではなく、僕がブログや本で書いたことに対する正面からの批判だとしたら、きちんと受け止め、しかるべき対応を取る必要があります。