解雇マニュアルが出回っている
2008年のリーマンショックから、製造業の派遣切りに代表される非正規社員の雇用調整(解雇・雇止め)が大胆に行われてきました。そして09年の初め頃から正社員のリストラも増加中です。
リストラのパターンは似通っています。「こうやれば法的紛争を免れる」という新たなマニュアルがあるようです。正面から「(整理)解雇だ」と通告しないのが特徴で、「不況下における全社的な組織再編で、君にオファーする仕事とポストがないので、社内と社外で自分の仕事を自分で探してくれ」と決まり文句で迫ってきます。社内で仕事がないから人員整理するのに、「社内で探せ」は不条理だし、社外で仕事を探すのは「辞めろ」を意味しますが、そうは言わない。期限は判で押したように3カ月。その間に見つからなければ諦めて辞めてね、ということです。
こんな仕打ちを受けても、労使協調が骨の髄まで染み付いているのか、日本のサラリーマンは闘わない。そのまま辞めるのが8割。残りの2割は抵抗しても、その半分は3カ月後、仕事が見つからず退職していく。「辞めない」とねばるのは全体の1割くらいにしかすぎません。
会社の戦法には続きがあります。辞めないと言った労働者に対して、今度は1人だけ外れた組織表を渡して、「あとは派遣レベルの仕事しかないから、給料が下がるよ」と通告し、ひどい場合は、給料を2割~半分も下げる。これらは違法です。そうやってずっと給料が下がっていくと想像させ、「でも今辞めれば少しお金を上乗せするよ」と甘い囁きをかけるのです。