解雇マニュアルが出回っている

<strong>弁護士 棗 一郎</strong>●1961年、長崎県生まれ。中大法学部卒。日本労働弁護団本部事務局次長。所属は旬報法律事務所。
弁護士 棗 一郎●1961年、長崎県生まれ。中大法学部卒。日本労働弁護団本部事務局次長。所属は旬報法律事務所。

2008年のリーマンショックから、製造業の派遣切りに代表される非正規社員の雇用調整(解雇・雇止め)が大胆に行われてきました。そして09年の初め頃から正社員のリストラも増加中です。

リストラのパターンは似通っています。「こうやれば法的紛争を免れる」という新たなマニュアルがあるようです。正面から「(整理)解雇だ」と通告しないのが特徴で、「不況下における全社的な組織再編で、君にオファーする仕事とポストがないので、社内と社外で自分の仕事を自分で探してくれ」と決まり文句で迫ってきます。社内で仕事がないから人員整理するのに、「社内で探せ」は不条理だし、社外で仕事を探すのは「辞めろ」を意味しますが、そうは言わない。期限は判で押したように3カ月。その間に見つからなければ諦めて辞めてね、ということです。