420億円の売り出し価格は全米史上最高額

日本建築界の巨匠・安藤忠雄氏による建築が、アメリカのセレブたちを魅了している。

カリフォルニア州ロサンゼルスの丘の民家
写真=iStock.com/Sundry Photography
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歌手のビヨンセとラッパーのジェイ・Z夫妻は今年5月、安藤氏設計の邸宅を約2億ドル(約283億円)で購入。カリフォルニア州の高級住宅として歴代最高額を記録した。全米でもマンハッタンに次ぐ2番目の高値となる。

英テレグラフ紙によると、当初の売り出し価格は2億9500万ドル(約420億円)。仮にこの価格で取引が成立していた場合、全米の歴代最高額を更新していたという。

安藤氏が手掛けた住宅はアメリカで20戸ほどしかなく、セレブたちがどうしても手に入れたい注目アイテムになっている。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は「セレブたちが近頃夢中になっているものがある。それは81歳の日本人建築家・安藤氏である」と題する記事を掲載している。

同紙は、著名人や超富裕層のあいだで「カルト的人気を博している」と指摘する。安藤氏の作品が注目され、安藤氏設計の住宅が劇的に値上がりしているという。

プール付きの豪邸に宿る「禅のような」静謐さ

ウォール・ストリート・ジャーナル紙などによると、ビヨンセ夫妻が購入した邸宅は、カリフォルニア州マリブの高台にある。太平洋を望む物件で、シンプルで幾何学的な意匠が特徴だ。

芝生を敷き詰めた3万平方フィートの敷地(約840坪。タウンハウス型の共同住宅も含めた、日本の平均的な戸建て住宅の敷地面積の9.8倍ほど)に、安藤氏のトレードマークであるコンクリート打ちっぱなしの邸宅がたたずむ。大胆なパノラマウインドウを備える各寝室は、直方体のリズムを繰り返し奏でるかのようだ。重厚なコンクリート建築にあって、軽やかな印象を生み出している。