今、韓国で日本の書籍が売れている。大手書店チェーンの2023年上半期ベストセラー小説部門ではベスト30に日本の小説が8作品も入った。ジャーナリストの金敬哲さんは「社会の厳しさに疲れた韓国の若者たちは、社会問題への意識が高い自国の文芸よりも、癒やしを与えてくれる日本の小説を支持しているようだ」という――。
小説版『すずめの戸締まり』が書店のベストセラーランキング2位
韓国では今、過去に例を見ないほど“日本ブーム”が巻き起こっている。さまざまなコンテンツが愛好されており、日本の書籍もそのひとつだ。
韓国最大の書店チェーン「教保(キョボ)文庫」が発表した2023年上半期ベストセラーランキング小説部門では、上位30作品のうち8作を日本の小説が占めた。ラインナップされたのは、2位『すずめの戸締まり』(新海誠)、5位『今夜、世界からこの恋が消えても』(一条岬)、7位『西由比ヶ浜駅の神様』(村瀬健)、12位『人間失格』(太宰治)、13位『今夜、世界からこの涙が消えても』(一条岬)、16位『すずめの戸締まり(ハードカバー版)』、22位『希望の糸』(東野圭吾)、24位『コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店』(町田そのこ)。
さらに海外小説部門では、この8作のほかに『死にたがりな少女の自殺を邪魔して、遊びにつれていく話。』(星火燎原)、『ノルウェイの森(ハードカバー版)』(村上春樹)、『君の名は。』(新海誠)、『容疑者Xの献身』(東野圭吾)、『ブラック・ショーマンと幻の女』(東野圭吾)の5作品が加わり、ベスト30のうち13作品を占めている。