学用品などの負担は3年間で1.23倍に

文部科学省の「子供の学習費調査」は調査項目が網羅的で、抽出された保護者の側が回答していることから、「隠れ」ている部分はほとんどないように調査されているものといえる。令和3年度(2021年度)の今回調査平成30年度(2018年度)の前回調査とを比較する形で、こちらを参照してみよう。いずれも1年度分の年間費用である。

活動が停滞したコロナ禍にもかかわらず、3年前に比べて急増したのが、図書・学用品・実習材料費だろう。詳しく数値を見ていくと、公立小学校で1万9673円から2万4286円(1.23倍)、公立中学校で2万5413円から3万2368円(1.27倍)だ。

この原因は、おそらくはデジタル端末の周辺機器・アプリ類の購入と考えられる。教員らの話し合いで品目が指定され、ほぼ指定品同様の扱いで集金されることもある。ICTを活かした授業法への移行の際に、どれだけ既存の学用品を見直したのか、新たに必要な物品についても一人一つを家庭で購入するか、学校に公費で備え付けするかの検討が丁寧に行われたのかが問われる。

学校指定品が高額化している可能性

もう一つ増加傾向にあるのが、通学関係費である。公立小学校では1万8032円から2万460円というように1.13倍、公立中学校で3万7666円から3万9516円というように1.05倍で、こちらも学用品費ほどではないが、軒並み増加している。通学関係費とは、文字通りバスや電車などを利用した場合の交通費を含むが、その他に、通学用の物品として購入した自転車や、通学用の制服類、ランドセルが含まれている。

そして学校教育全般にかかる費用(給食費を含む)を見てみると、公立小学校では10万4984円(1846円減の0.98倍)、公立中学校では17万19円(1万1887円減の0.93倍)であるが、喫食率の下がった学校給食や、予定通り実施できなかった修学旅行費の返金の影響が大きく、かえって学用品費や通学関係費は増えていることがわかる。

給食や修学旅行は十分にできなかったにもかかわらず、学用品や制服、学校指定品類が高額化している可能性を示すものともいえる。

「無償か有償か」自治体格差が広がる給食費

一方で、保護者負担費用の中には見えやすいものもある。その典型が学校給食費だ。食べている回数が同じなら、学年全員金額は同じで、多くは口座振替されるし、集金計画も普通は年度初めに保護者に伝えられる。

ただし、今、給食費無償が自治体ごとに進められており、2022年度に公立小中学校で無償の自治体は全国の3割程度に上る。残りの7割は有償のまま、コロナ禍で喫食数が少なめであるにもかかわらず、小学校で年間5万円ほど、中学校では6万円ほどを負担している状態だ。自治体間格差が著しく広がっている。

この点について、筆者自身が『隠れ教育費』共著者の栁澤とともに呼びかけ人となって、学校給食費の全国一律の無償化に向けて署名を始めた。ぜひ署名サイトを一読し、署名に賛同してほしい。全体像が見えており、子どもの成長発達に直結する給食費については、保護者負担の中でも最優先で公費保障すべきものと考えている。

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