エネルギーを買える国と買えない国の格差
また、フランスは、アメリカに次ぐ原発大国だ。56基を保有し、昨年2月には2050年までに国内に少なくとも6基を新設。別に8基の建設検討も始まっている。理由は再生可能エネルギーのコスト高。太陽光発電導入量を見ても(国際エネルギー機関・IEA 2021年統計)1位は中国、日本は4位。フランスは10位だ。
友人のフランス人に聞くと、ハイブリッド車もEV車も中古車で、高く売れないから買いたくないと答える。
太陽光パネルも日本ほどには普及していない。理由はわざわざ高い太陽光パネルを設置しなくても原発があるというもの。実はプーチン大統領が火をつけたもう一つの戦争と言えるエネルギー戦争は、各国間に深刻な溝も生み出している。
その一つがエネルギーを買える国と買えない国の格差。化石エネルギーに代表される、資源やエネルギーを持つ国と持たない国の格差だ。日本はまさに資源小国、9割を輸入に依存している。だからこそエネルギーの確保は重大なのだ。過去のオイルショックやトイレットペーパー買い付け騒動が、再び起きてもなんらおかしくない。
目標が高すぎても「やめます」とは言えない
話を少し巻き戻す。
先のG7環境大臣会合の共同声明には、2019年比で温室効果ガスについては、2030年までに40%削減、また2035年までに60%削減が謳われた。自動車の二酸化炭素排出は2000年比で2035年までに半減することを目標とした。洋上風力発電は2021年比で2030年までに約7倍にするという。
この目標、こうやって読んでいる分には「ふーん」という感じだが、いざ実行するとなると今の日本にも世界にも、相当にハードルが高い気がする。しかし、地球温暖化ストップという大号令が、世界のルールなのだとしたら守らなければならない。ましてや今回は議長国。「もうやめます」とは、決して言えない。