Soup Stock Tokyo(以下、スープストック)が4月、全店で離乳食を無料で提供すると発表したところ、SNSなどでは「ありがたい」と歓迎する声が上がった一方で、「女性が一人で入りやすい貴重な店だったのに」「もう行かない」といった批判の声も上がった。武蔵大学社会学部教授の千田有紀さんは「この騒動は、子どものいない女性と、子どものいる女性の対立というよりも、むしろ、スープストックが本来の顧客であった女性の気持ちに配慮が足りなかったために起こったといえるのではないか」という――。
Soup Stock Tokyoが4月25日に出した、離乳食全店無料提供のお知らせ。Soup Stock Tokyoホームページより
Soup Stock Tokyoが4月25日に出した、離乳食全店無料提供のお知らせ 。Soup Stock Tokyoホームページより

新しいターゲットが加わったことに既存顧客が難色

スープストックが、離乳食無料を宣言してから、ネットは大騒ぎになった。スープストックは基本的には駅近にあり、これまで「働く女性」をターゲットにしていた。新しく「ご家族やお子様」をターゲットにすることに対し、これまでの顧客が難色を示した。

それが少し落ち着いたところで、スープストックが改めて宣言文を出した。その「離乳食提供開始の反響を受けまして」の中には、「私たちは、お客様を年齢や性別、お子さま連れかどうかで区別をし、ある特定のお客様だけを優遇するような考えはありません……ひとつひとつですが、これからも「Soup for all!」の取り組みを続けていきます」と書かれている。

ネットでも、「世間を騒がせた」と安易に謝罪することもなく、すべての人を包括した、うまい対応、“神対応”だったと褒められているようである。

女性同士の対立だったのか

この一連の騒動は、よくある「働くシングルや子どものいない女性と、子どものいる女性の対立」というふうにとらえられていた。

しかしもう一度振り返ってみれば、私はやはり、スープストックが本来の顧客であった女性の気持ちに配慮が足りず、それが告知文の書きかたに表れたがために引き起こされたものなのではないか、と言わざるを得ないと考えている。