ウクライナのオリガルヒは、ロシア以上に大きな存在
【増田】ウクライナでは、オリガルヒ自身が政権を握ってきましたね。
【池上】ユリア・ティモシェンコ元首相は、親欧米派のオリガルヒでした。ヴィクトル・ヤヌコヴィチ元大統領は、親ロ派のオリガルヒ。ペトロ・ポロシェンコ前大統領も、「チョコレート王」と呼ばれたオリガルヒです。
現在、ウクライナ最大の資産家と言われるイーホル・コロモイスキー氏は、ゼレンスキー大統領と近い関係だったと言われています。マリウポリのアゾフスタリ製鉄所の所有者リナト・アフメトフ氏は、ロシア政府に対して200億ドル(約2兆6000億円)の損害賠償を求める訴訟を起こしています。
ウクライナのオリガルヒはロシア以上に大きな存在で、政治腐敗や経済停滞の原因になっているとも指摘されています。ゼレンスキー大統領はオリガルヒによる腐敗・汚職を阻止することを掲げて当選し、昨年9月にはオリガルヒと認定された個人に対し、政党への献金や大企業の民営化への参加を禁止する法案をウクライナ議会で可決しましたが、その前日、側近のセルヒー・シェフィール大統領首席補佐官が銃撃されています(AFP・21年9月24日)。一筋縄ではいきません。
(構成=石井謙一郎)