身近な人に不満を感じたとき、どう対応するのがいいか。心理コンサルタントの林恭弘さんは「言わないで我慢しても『怒りの感情』になりストレスは蓄積されていく。『非難』ではなく『期待』を込めて伝えることだ」という――。
※本稿は、林恭弘『「落ち込みグセ」をなおす練習』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。
価値観も信念も毎日リセットする「当たり前」は人によって違う
私たちは人間関係のトラブルや悩みにおいて、「価値観の違い」を大きな問題として考えています。
しかし、そもそも、「価値観」とは何なのでしょうか。そして「価値観の違い」は、越えがたい大きな壁なのでしょうか。
価値観とは、「これが当たり前」という観念であり、物事の軽重を測る物差しであり、私たちが生きていくうえで重要な判断を下す基準のようなものです。
たとえば、どのくらいの収入があればよしとするのか。あるいは、どのくらいの預貯金があれば十分とするのか、という「金銭」にまつわる価値観。または、どの学校に入学し、学士・修士・博士まで目指すのか、という「学歴」「教育」にまつわる価値観。
仕事を食べていくための手段と捉えるのか、それだけではなく人生における大切な役割として向き合っていくのか、という「仕事」にまつわる価値観などです。
そのほかにも、「時間」「家族関係」「友人関係」「食」「宗教」など、日々の生活をしていくうえで、判断や決定をするための基準としているさまざまな価値観があります。
これらの価値観が違っているために、対立や争いなどの人間関係におけるトラブルが発生しています。
離婚の原因は「価値観の違い」が常に上位です。親子関係がうまくいかないのも、「価値観の違い」でしょう。部下や上司との関係における悩みは、「世代間における価値観の違い」が多いものです。