非難の言葉を浴びせてしまう人の心理
「わたしは、自分の意見を素直に伝えます」という人たちの話をよく聴いてみると、たいていは、弟に強く言ってしまった男性のような、相手を非難する言い方なのです。つまり、自分の事情は何1つ伝えず、「相手のこと」だけ指摘しています。
その言葉の裏に隠れている意味は、次のようなことでしょう。
「あなたが悪い」
「あなたはわかっていない」
「あなたは迷惑な人」
「あなたのやり方は間違っている」
「あなたは変わるべきだ」
このように「相手を非難する」メッセージを伝えると、周囲の人は心を閉ざしてしまいます。
不満を相手に伝えると、「人間関係がギクシャクするかもしれない」「嫌われてしまうかもしれない」と心配する人は、「不満を相手に伝える」=「相手を非難する」ことだと思っているからではないでしょうか?
素直な人は相手への期待を伝えている
人は一人一人が違う存在です。感じ方が違う、考え方が違う、やりたいことも違うのです。ですから、人が人に対して不満を持つのは当然です。人は「思い通りにいかない」ときに不満を持ちます。これ自体は悪いことではありません。
誰かに不満を感じるときには、必ず、その相手に対する「期待」があります。
期待をしていない人には、不満を感じないものですから。
「わかってくれるはず」と思っていたのに、わかってくれないから「不満」を感じます。
「やってくれるはず」と思っていたのに、やってくれなかったから「不満」を感じるのです。「優しくしてほしい」という期待があるから、優しさを感じられなかったときに「不満」を感じます。
先日、とある駅の構内を歩いていると、カップルの会話が耳に飛び込んできました。デートの待ち合わせに、彼が遅れてきたようでした。
彼女が、
「もう! どうして時間ぐらい守れないの? よくそれで仕事ができるわね!」と声をあげました。痛烈に相手を非難するセリフです。彼女は、かなりの不満を感じていたようです。
おそらく彼女が彼に抱いていた「期待」は、「二人の時間を大切にしてほしい」、「わたしのことを大切にしてほしい」ということでしょう。
自分が抱いている期待をそのまま素直に言葉にして伝えられたら、相手も素直に聞いてくれるでしょう。ただ、人はどうしてもそのときの状況や気持ちのまま感情的になってしまいます。その感情に任せて「期待」ではなく「不満」を言ってしまうのです。
期待を素直に伝えられたら、ストレスも少なく、気持ちのいい人間関係がつくれるのです。