出会い・婚活の手段としてすっかり浸透したマッチングアプリだが、活用しているのは若い世代だけではない。50~60代のシングルも積極的だ。その奮闘ぶりを追った――。
例1)50代バツイチのA子さんの場合
▼50代女性だってニーズはある
50代後半バツイチのA子さんは長年営業ウーマンとして会社に貢献してきたキャリア女性だ。離婚して10年経ち、子供たちも独立した。残りの人生をよきパートナーと過ごしたいと思い、インターネットで調べて、試しに「M」というアプリに登録した。約1年前のことだ。
Mはユーザーの年齢層が幅広く、シングルファーザーやシングルマザーの再婚活も推進し、比較的真面目なユーザーが多い、との評判だ。通常、婚活アプリには既婚者が潜り込み、体の関係が目的で使う者もいるが、そういうやからも少ないといった書き込みもある。実態はわからないが、「50代女性もOK」などというアプリ内グループもあり、そこには多数の男性が参加していた。ネットで異性との出会いを求める……人生初の経験にA子さんの中には気恥ずかしさとワクワクする気持ちが共存していた。
▼色っぽい浴衣姿をトップ画像にあげる
一般的にマッチングアプリは、顔がはっきりとわかる写真をプロフィールに掲載するほうが「いいね」がくる可能性が高い。しかし、簡単に画像検索ができ、不特定多数の異性に自分の顔を晒すのは怖い。とはいえ、“奇跡の一枚”や本当の顔がわからないほど加工した顔の画像を載せるのはいかがなものか、とA子さんは思案した。
「アプリで恋人を見つけたタレントの新山千春さんが、後ろ姿をプロフィール写真に掲載していたことを思い出して……。いろいろ考えた末、髪をアップに結い上げた浴衣の後ろ姿をトップ画像に使いました。友人が偶然に撮影したカットですが、これがそんなに男性の妄想をかき立てるものだとは、思わなかったのです」
“料理が上手”など家庭的な面を強調したのも奏功し、予想を超える数の「いいね」がきた。その中には、年収1000万円超だという男性も含まれていた。