自民党が行った会社統治制度の改革は企業の活力を削ぐ結果に終わった。民主党政権下でも再び企業統治が議論されているが、そこにもやはり重大な欠陥がある、と筆者は説く。

自民党の会社統治制度改革は失敗

自民党政権のもとで進められた会社統治制度の改革は、経営学者の目から見れば失敗であったと言わざるをえない。日本企業は腰を据えた長期投資をしなくなってしまったし、リスク投資にも臆病になってしまった。これらは、マクロ経済にもマイナス効果だったろう。不祥事を防ぎ経営者の暴走を防ぐことを目的にして導入された内部統制制度は、企業の活力も奪ってしまったのである。海外からの投資を呼び込むために行われた株主志向の改革は、株主の利益にもならなかったばかりか、雇用の不安定化をももたらしてしまった。

民主党政権は、そのマニフェストにあった公開会社法の制定に動き始めた。経営学者の視点からみると、この法律に関しても危惧されることがいくつかある。