アダルト業界で儲かるビジネスは何か。35歳の岸田悠馬さんは、5年前に変態性欲者向けのフリマサイトの運営を始めて、売買価格20パーセントの手数料収入で暮らしている。女性の使用済み下着と排泄物に驚くほど需要があるという。ノンフィクションライターの中村淳彦さんが書いた『同人AV女優 貧困女子とアダルト格差』より紹介しよう――。

※本稿は、中村淳彦『同人AV女優 貧困女子とアダルト格差』(祥伝社)の一部を再編集したものです。

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デジタルによって女性の裸の価値は下がったのか

本書はアダルト業界に詳しくない編集者が企画し、「デジタル化によって女性の貧困や格差が進んでいるのではないか?」という彼の仮説から始まっている。

確かに紙のエロ本は消滅といった状態となり、女性の参入過多が原因の裸とセックスのデフレが起こり、かつては異常に利益率が高かったAV業界(適正AV業界)の衰退が続いている。

AV新法の規制強化がトドメとなって、出演料の低下と撮影数の減少が止まらなくなって生活できない女性が続出している。

デジタルによって女性の裸の価値はさらに下がったのでは? という仮説から始まった取材だったが、それはまったくの杞憂きゆうだった。

テクノロジーの進化によって素人が個人でアダルトビデオを制作できる時代に突入し、同人AVやポルノハバーという新しい潮流が誕生した。進化したデジタル機器やプラットホームを駆使した者から合理的に稼いでいる。

旧態依然として最大手企業の独占によって搾取され、誰にも認められない自主規制にがんじがらめになりながら貧困化する適正AVに固執する者と、一歩外に踏み出して同人AVやポルノハバーに挑戦する者との間に壮大なる格差が生まれていた。