米連邦議会のある関係者は、「ウクライナ側は、バイデン政権も他の国々も戦争の現実をよく分かっていないと苛立ちを募らせている」と指摘する。
ロシアは、2022年2月に本格的な軍事侵攻を開始して以降占領したウクライナの地域の多くで防衛態勢を強化し始めている。さらに後方支援の拠点を、西側諸国がウクライナに供与したロケットシステムの射程範囲よりもずっと後方に移動させて、2022年秋にハルキウやヘルソンの占領地域をウクライナ軍に奪還された時のように、後方の拠点が攻撃を受ける失敗を繰り返すまいとしている。
ゼレンスキーや彼の顧問が不満を募らせる背景には、ウクライナに約束された軍事支援の到着がどんどん遅れてきていることと、ロシア軍による民間標的への攻撃が激化していることがある。14日には、ロシア軍がウクライナ東部ドニプロの集合住宅をミサイルで攻撃。ゼレンスキーによれば、子ども6人を含む45人が死亡したと述べた。
20日の会議に注目と期待が集まる
米バイデン政権は、地上発射型の小直径爆弾をウクライナに供給するというボーイングの提案を密かに検討している。この爆弾とロケットモーターを組み合わせることで、約150キロ先にあるロシアの標的を攻撃することが可能で、爆弾もロケットモーターもアメリカに豊富な在庫がある。
しかし米国防総省の内部には、同兵器を戦場に配備するには9カ月の準備が要るため、使えるようになるまでには戦況が一変して不必要になっているのではないか、と懸念する声がある。また東ヨーロッパ諸国の間では、NATO側が迅速に戦車や長距離兵器を供与しなければ、2回目の大規模動員令で部隊を増強したロシアに形勢挽回を許すことになりかねないと心配する。
リトアニアの元国防相リナス・リンケビチュスは18日、「20日にドイツのラムシュタインで開かれる会議で、ウクライナへの攻撃用兵器の供給について飛躍的な進展がなければ、ロシアに新たな部隊増強の時間を与えることになる」とツイートした。「そうなれば、プーチンは権力の座を維持する最後の希望を得ることになるだろう」