2023年度予算案における防衛費が前年の約1.3倍に膨らんでいる。その中には新造するイージスシステム搭載艦の整備費として2208億円が含まれる。元海上自衛隊自衛艦隊司令官の香田洋二氏は「イージスアショアの地上配備が困難になったため、イージスシステム搭載艦に仕様変更されたが、詳細の説明がない。本当に2208億円で足りるのだろうか」という――。

※本稿は、香田洋二『防衛省に告ぐ 元自衛隊現場トップが明かす防衛行政の失態』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。

護衛艦こんごう型(2013年6月12日)
写真=朝雲新聞/時事通信フォト
護衛艦こんごう型(2013年6月12日)

「イージス艦」と「イージスシステム搭載艦」は何が違うのか

イージスシステム搭載艦とは、防衛省が秋田県と山口県で進めていた地上配備型弾道ミサイル迎撃システム「イージスアショア」の配備計画を断念したことを受け、その代替手段として選ばれた装備計画だ。

「イージス艦」という名前は、いろいろなところで報道されているので、聞き覚えがある方も多いと思う。ただ、これに「イージスアショア」とか「イージスシステム搭載艦」などが加わると、何がどう違うか混乱する方もいるかもしれない。防衛問題に強い関心がある読者はすでにご承知のことかとは思うが、イージスシステム搭載艦の問題点を明らかにする前に、「イージスシステム」「イージス艦」「イージスアショア」「イージスシステム搭載艦」について、少し詳しく説明しておきたい。

「イージスシステム」とは、米海軍の開発した防空システムで、4方向に設置された3次元のレーダーにより多数の目標物、敵などを探索できるシステムだ。