欧米諸国はこれまで、フランスの装輪装甲車AMX-10RCやアメリカ製のブラッドリー歩兵戦闘車などの軽装甲車をウクライナに提供してきたが、ウクライナはドイツの主力戦車レオパルト2の供与を望んでいる。
レオパルト2は世界最強クラスの戦車とされており、ヨーロッパの12を超える国が同戦車を導入。NATO加盟諸国の保有数は2300台にのぼると推定されている。燃料効率がガソリンより高いディーゼルエンジンを搭載しており、燃料不足に苦しむウクライナのニーズにより適していると考えられている。
しかしドイツはアメリカの当局者に対して、米国防総省が米軍の主力戦車エイブラムスを供与しない限り、ドイツもレオパルト2を供与するつもりはないと示唆している。だが近い将来、アメリカがエイブラムスを供与することはなさそうだ。
1月20日に開かれるウクライナ防衛支援会合では、レオパルト2が議論の焦点となる見通しだ。ドイツに対しては、ウクライナに直接戦車を供与するか、最低でも(フィンランドやポーランドなどの)第三国が保有するレオパルト2をウクライナに供与する許可を出すよう圧力が高まっている。
2回目の大規模動員も近い
英ガーディアン紙によると、20日の会議に先立ち、イギリスのウォレス国防相は19日にバルト三国とポーランドの国防相と会談を行う予定だ。ドイツのオラフ・ショルツ首相にウクライナへの戦車供与を認めるよう迫るための調整だという。
ウクライナ軍が今後どれだけ領土を奪還できるかは、どれだけの戦車の提供を受けられるかにかかっている。近くカナダのLAV(装甲兵員輸送車)やアメリカのストライカー装甲車がウクライナに到着する予定だが、それだけではウクライナの要求には程遠い。ウクライナ軍では、旧ソ連製戦車用の弾薬も尽きかけている。
ウクライナの情報機関は、ロシアが2回目の大規模な動員を行う見通しだと警告している。だがこうしたなか、ウクライナには自国軍の訓練を行う組織的な能力が不足しており、西側の当局者や軍事専門家は、何カ月も前線で戦ってきたウクライナ軍の兵士が今後、不足する可能性があるのではと懸念を募らせている。西側諸国がポーランドやラトビア、イギリスやアメリカでもウクライナ兵の訓練が行われているものの、これらの兵士はまだ戦場に配備できるレベルには育っていない。年齢が比較的若いウクライナ兵でも、これまでは敵対勢力に迫撃砲で対抗する旧ソ連式の戦術に基づく訓練を受けていたため、新たな戦術や防空システムに合わせるための基本を学ぶ必要がある。