妻の限界
年末の仕事を早々に片付けて、宮畑さんは母親と妻がいる信州へ戻った。年末から年始にかけて、20歳の娘も帰省。約10日間を母親と過ごした宮畑さんは、初めて自分の気が狂うのではないかと思った。
「何かを言うと文句ばかり返す母。言いたい放題、わがまま放題。この母に振り回されていてはこっちがおかしくなると思いました。私が知る母は料理がうまく、明るく楚々としていたのですが、まったく別人のような行動と発言の連発。私たちは、母は認知症ではなくて、精神に異常をきたしているのではないかと思いました」
宮畑さんたちは、認知症と統合失調症についての勉強を始めた。数日一緒に過ごして、妻が相当疲弊していることがわかった宮畑さんは、関西の妹にSOSを出した。(以下、後編へ続く)