現在30代の女性の両親は“ワンナイトのできちゃった結婚”をしたが、すぐ不仲に。父親は経営する居酒屋店で寝泊まりして家に帰らない一方、母親は女性が幼い頃からカルト宗教に入信し、育児は半ばほったらかしで日夜、修行。「教団と縁を切るため」と嘘をついて親族からお金を借り、そのまま教団に寄付する。女性は教団施設に連れていかれることも多く、蚊も殺してはいけないという教えにも従わされた――。(前編/全2回)
ある家庭では、ひきこもりの子供を「いない存在」として扱う。ある家庭では、夫の暴力支配が近所に知られないように、家族全員がひた隠しにする。限られた人間しか出入りしない「家庭」という密室では、しばしばタブーが生まれ、誰にも触れられないまま長い年月が過ぎるケースも少なくない。そんな「家庭のタブー」はなぜ生じるのか。どんな家庭にタブーは生まれるのか。具体事例からその成り立ちを探り、発生を防ぐ方法や生じたタブーを破るすべを模索したい。
今回は、幼い頃からカルト宗教に入信した母親に振り回され続けた現在40代の女性の事例を紹介する。彼女の家庭のタブーはいつ、どのように生じたのだろうか。タブーのはびこる家庭という密室から、彼女はどのように逃れたのだろうか――。
ワンナイトのできちゃった結婚
関西地方在住の時任和美さん(仮名・30代・既婚)は、居酒屋を営む父親と、なかなか定職に就かず転々としていた母親の元に生まれた。両親は、当時40歳の父親の店に、30歳の母親が客として来たことで出会い、交際期間ゼロで妊娠。いわゆる“ワンナイトのできちゃった結婚”だった。
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