2022年下半期(7月~12月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。投資・資産運用部門の第4位は――。(初公開日:2022年9月18日)
3人家族の共働き世帯で手取り月収は約70万円。夫(62歳)の退職金は1600万円。妻(58歳)が相続した遺産は現金で約9000万円。これだけあれば老後は左団扇で暮らせそうだが、FPの横山光昭さんに家計相談に来た時には、貯蓄額は退職金を含めて500万円程度しか残っていなかった。果たして、合計約1億円以上の相続と退職金はいずこへ? 老後目前のアラ還夫婦は起死回生できたのか――。
帯が掛かっている100万円の札束
写真=iStock.com/itasun
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1億円超を溶かしてしまう“ゆるゆる家計”

「いつも知らないうちにお金がなくなっていて、このままだと退職金も完全に溶かしてしまいそうなんです。ビンボー老後にならないように、今から手を打ちたいと思いました」

青ざめながら家計相談に訪れたのは、2年後に還暦を迎える、北陸地方在住のインテリアコーディネーター金子洋子さん(仮名・58歳)。おっとりした口調で、品のいいたたずまいの方です。

洋子さんは10年以上前に、亡き親からの遺産相続で約9000万円の現金を手にしたものの、「生活費で溶かしてしまったんです……」と告白しました。

加えて、2年前に入った夫(62歳)の退職金も1600万円あったが、現在では150万円まで激減。その上、世帯収入は毎月70万円(勤務先に雇用延長された夫50万円、妻20万円)もありながら、月末に残るのは9万円弱で、その大半も、ボーナスがないため季節の行事や学費など使途が決まっている積み立てに充当しているため、月々の純粋な黒字はわずか約1万5000円しかない。

かろうじて残っている退職金まで使い果たしてしまわないよう、どうやりくりしたらよいかと、家計相談に来たのです。