2022年に日本国内で放送・配信されたドラマで、評価するべき俳優はだれか。ドラマ偏愛コラムニストの吉田潮さんが作成した「2022年俳優ランキング」を紹介する。第1回は男性部門ベスト10――。(第1回/全3回)
金のトロフィーと紙吹雪
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2022年を通して活躍した俳優を独断で選出

今年もやります、超主観的「ベスト俳優ランキング2022」。プレジデントオンラインは経済系の硬派サイトなのに寛容だわ。

今回はランキングの根拠を示すことにした。出演した各ドラマで名主演または記憶に残る熱演を30点、その人ならではの比類なき好演を10点、適役または評価すべき演技を5点とし、合計点を算出。複数のドラマで好演するほど得点が積み重なる。まずは男性部門から。

10位 阿部サダヲ

「空白を満たしなさい」(NHK)30点。

死んだ人間が時を経て突然生き返ったがゆえの苦悩を描く物語。主人公の徹生(柄本佑)につきまとう謎の男・佐伯を演じたのが阿部サダヲだ。初回からその薄気味悪さや実体のつかめなさは、観る者に生理的嫌悪感を与えた。不確かな存在だが強烈な存在感。

4話で画家のゴッホの自画像を例に、ある種の正論で徹生を諭した佐伯は、逆に神々しかった。自死をめぐる見解は真摯しんしだが辛辣しんらつでもあり、「正しさという名の毒」に言及。気まずさの打破を体現できる役者として評価したい。

大河のラストは語り継ぐべき名演

9位 林遣都

「初恋の悪魔」(日テレ)30点。

停職中の刑事で凶悪犯罪をこよなく愛する鹿浜鈴之介役。しょっぱなから面倒臭さと厄介さ全開、賢さと不器用さのアンバランスは遣都ならでは。厄介な人に仕上がった経緯も余すところなく、鹿浜という愛すべき人物の来し方を見事に体現。幼少期の自分と対峙たいじする場面、初恋の終焉しゅうえんを噛みしめる切ない場面が忘れられない。

8位 小栗旬

「鎌倉殿の13人」(NHK)30点。

伊豆の片田舎の心優しき次男坊・北条義時(小四郎)が粛清に次ぐ粛清で人の心を失いつつも、非道な覇権争いを制して執権に上り詰める。主君に、家族に、御家人に、翻弄ほんろうされ続けた人生を演じきった。小四郎の心の揺らぎと死に際は語り継ぐべき名演。