来年も私の心と脳を揺さぶってくれ

2位 宇野祥平

「ヒヤマケンタロウの妊娠」(Netflix)30点、「ザ・タクシー飯店」10点、他15点。計55点。

ショウヘイと言えば宇野祥平。今年は泣かされ、笑わされ、驚かされた。「ヒヤマ~」は主役の斎藤工が妊娠する話だが、実は宇野も妊娠する役。華々しくスポットライトが当たるのは工で、祥平は男性妊夫の「影」を担当。光と影がセットになる残酷さが物語に深みを与えたが、その重要な役を祥平が見事に演じきった。

渋川清彦主演のタクシー運転手の物語「ザ・タクシー飯店」では同僚役。ワケありの過去をもち、ふがいなさが炸裂している男だ。親族内で情や仁義が薄い人ってめちゃくちゃリアル。「今度生まれたら」(NHK BSプレミアム)でも、ちょっと空気の読めない娘婿役。絶妙にはずす感じが親戚にひとりはいるタイプ。“リアリティの雄”と呼びたいのは、コメディだけでなくシリアスな作品での暗躍もあるから。

「両刃の斧」(WOWOW)では交番勤務の巡査役。腐った上層部がいる組織に属する人間の悲劇。罪の意識に苛まれ、衝撃的な死を遂げる。苦悩した時間の長さと出演する時間は反比例なのだが、胸がつまる。ただし、「オカルトの森へようこそ」(WOWOW)では関西弁で勇ましく化け物と闘う江野祥平役。強くて頼れるヒーローで驚いた。

来年も、私の心と脳を揺さぶってほしいひとりである。

今年のドラマ界は「太賀と大河」だった

1位 仲野太賀

「拾われた男」(NHK)30点、「初恋の悪魔」30点、他10点。計70点。

2019年10月3日、韓国・釜山で開催された「第24回釜山国際映画祭」のオープニングセレモニーのフォトコールに出席した、俳優の仲野太賀さん。
写真=Penta Press/時事通信フォト
2019年10月3日、韓国・釜山で開催された「第24回釜山国際映画祭」のオープニングセレモニーのフォトコールに出席した、俳優の仲野太賀さん。

今年は「太賀と大河」と断言しよう。主演作3本、その熱量と技量にひとりスタンディングオベーションだ。俳優・松尾諭のエッセイをドラマ化した「拾われた男」では、松尾本人に寄せる技術もさることながら、コミカル&楽観的な面を見せながら泣かせる神業を披露。役者の売れない苦労話をエエ話で終わらせないところがよかったし、この役は太賀以外にできなかったと最初っから最後まで思わせた。

「初恋の悪魔」では、刑事だった兄(毎熊克哉)の死に疑問と罪悪感を抱く弟を演じた。劣等感の裏返しで人と争わないスタンスを貫く。前半では超ド級のお人好し、中盤では爆発する怒りと悲嘆、最終的には調子よく幸福を堪能するという、波のある役だが違和感ナシ。親近感と奥行のある人物を好演。

一方、観客の前で一発撮りのシットコム「ジャパニーズスタイル」(テレ朝)では、主役だが舞台上では完全アウェー。邪魔者扱いされても、へこまないどころかへらずぐちを叩く鋼のメンタル。これぞ太賀節とも言える「ちょいムカつく人」で観客を魅了。額から流れる汗に、2022年を全力疾走した感が。お疲れさまとありがとうを伝えたい。

ひとつの作品における好演で順位付けをするなら、主演男優賞は小栗旬、助演男優賞は阿部サダヲ。皆さんもぜひ採点してベスト10を出してみてくださいな。

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