何でも早ければいいわけではないけれど

【村井】中国の思想家の孫子はその兵法の中で「巧遅は拙速にしかず」と言っています。丁寧にやって遅いものは、出来栄えがいまいちだけど早いものに敵わない、という意味です。戦争のように人命に関わる場面ではスピードがすごく大事だったんでしょうね。

何でもかんでも早ければいい、というものではありません。例えば、浦和の自宅の近所に「むさし乃」さんという名店があるんですが、そこの鰻は注文してから出てくるまでに40分くらいかかります。大将が小骨を一本ずつ取ったり、蒸したり焼いたりで40分。鰻の匂いを嗅ぎながら待つ40分が、私にとってはたまらないサービスだったりするわけです。

ご飯を食べるとか音楽を聞くとか、自分に関することは、わりとゆっくりやりたいタイプなんです。ビジネスでも「このプロジェクトは10年かけて人を育てるんだから、信じて待とう」という場合もあります。「期待」という言葉には「待つ」という字が入っているくらいですから。

ただし大抵の仕事は、議論が始まる前に時間軸をセットして議論を始めるという習慣がとても大事だと思いますね。

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