「これはジャニーズの根幹に関わるテーマなのである」

「稀代のカリスマから性的嗜好の標的にされた少年たちが、それを拒絶できなかった理由にある。スターを夢見た幼い彼らは『コンサートでの立ち位置が中央から追いやられる』ことや『グループとしてデビューできなくなる』ことを恐れたのだ。

これは、男性アイドル産業によって会社を築き上げた、ジャニーズの根幹に関わるテーマなのである」

ジャニー喜多川氏の少年たちへの性的虐待を告発したのは文春だけではない。

「法廷でも論議されたし、元フォーリーブスの北公次氏は、著書『光GENJIへ』の中で、実名で告発した。豊川誕氏などもそれに続いたが、いまだに被害は繰り返されている」(文春)

私の手元にも、北の『光GENJIへ』(データハウス)が4冊、やはりジャニーズ事務所にいたという平本淳也氏が書いた『ジャニーズのすべて 少年愛の館』(鹿砦社)など何冊かある。

だが、この国のメディアはこれらの事実を無視し続けた。

今こそ“罪”を検証すべき時ではないのか

2000年1月30日付の「ニューヨーク・タイムズ」は、「陰りゆく、日本のスターメイカー」と題し、ジャニー喜多川氏の性的虐待疑惑を報じ、「本誌との訴訟の事実すら報道しない日本のマスコミの姿勢を痛烈に批判している」〔『週刊文春が報じた ジャニー喜多川審美眼と「性的虐待」』(週刊文春編集部)より〕

ジャニー喜多川氏の性癖を知っていても、知らないふりをしてジャニーズのアイドルたちを視聴率稼ぎのために使ってきたテレビ業界や出版業界。

ジャニー喜多川氏に性的虐待を受けても、ステージに立ちたい、それも中央に立ちたいという願望から、親にも話さないアイドル候補生たち。

レッスンホール
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実態を薄々知りながら、そのことはおくびにも出さず、ジャニーズもうでに精を出してきたエセ芸能ジャーナリストたち。

かくして、週刊文春の報道と名誉毀損裁判はあったものの、多くの人の目に触れることもなく、ジャニーズ帝国は続いてきたのである。

だが潮目は変わった。メリー喜多川・ジャニー喜多川姉弟がいなくなり、ジャニー喜多川氏の後継者と自他ともに認めていた滝沢秀明氏が事務所を去り、King&Princeの3人も脱退し、来春退所するという。

ジャニーズがひた隠してきたジャニー喜多川氏の功罪の罪の部分を、メディアは検証すべき時だと、私は考える。