20年間無敗の勝負師・桜井章一さんの元には、「勝つためのテクニックを知りたい」と多くの人が訪ねてくる。ところが桜井さんは「格好よく負けることだけ考えてやってみるといいよ」としか教えないという。なぜなのか。セブン‐イレブン限定書籍『勝とうとするな 負けの99%は自滅である』で明かされた「雀鬼の勝負哲学」を特別公開する──。(第2回/全3回)
※本稿は、桜井章一『勝とうとするな 負けの99%は自滅である』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
誰もが「勝つ技術」を知りたがる…
私のところには、本を読んだ人たちなどからの相談が多くくる。
相談の中で多いのが、「勝つためにはどうすればいいのですか? 勝つ技術を教えてください」というものだ。けっして、「負けない技術を教えてください」とはいわない。
勝つ方法をただ尋ねるだけでなく、「格好よく勝つにはどうすればいいんですか?」などと聞いてくる人もいる。
そんなとき、私はこう答える。「格好よく勝とうなんて100年早いよ」と。
「格好よく勝つ」より「格好よく負ける」を目指せ
格好よく勝つと口でいうのは簡単だが、そう簡単にできるものではない。格好よく勝とうと思っている人は、勝つことに囚われているので、その発想自体がそもそも格好よくない。
そんな人が格好よく勝つなどということは、端から無理な話なのだ。
私は雀鬼会(私が主宰する麻雀道場)の道場生たちに、「格好よく勝とうと思わないで、格好よく負けることを考えたら」ということをよくいっている。
「格好よく負ける」には、心構えから体の構えまで、心身両面がきちんと備わっていなければならない。
勝ちたいと思えば、心にも体にも力みが必ず入る。力みがあれば、勝ってもどこか歪なものが現れるので、格好のよい勝ち方はとうていできない。