「マッサージは本当にうまい。でも、パジャマを脱がすと…」

「(中略)私のところにも、ジャニーズ事務所に入りたいという相談に来られる方はいますが、今の事務所が自分の一生を託するのに相応しいかどうか……。(中略)

芸能界は素晴らしい世界ですが、途中で挫折する怖さというのが、絶対にあるんです。事務所だけではなく、ジャニーズに過熱気味の親御さんにも、お子さんの将来を真剣に考えて判断して欲しいのです」

当時青山は48歳。今の元SMAPのメンバーとほぼ同じ年齢である。青山のほうが大人だったなと感じるのは、私だけではないはずだ。

文春は、

「学校に通えないスケジュールを課すなど子供たちを預かる教育的配慮に欠ける」「少年たちと契約を交わさないため、その結果、少年たちに給与面での待遇差など不利益が生じている」と指摘している。

中でも深刻なのが、ジャニー喜多川氏による少年への性的虐待だと追及したのである。

「誘い文句は『ユー、今日ウチへ来る?』。そして少年たちを寝泊まりさせていた自宅やコンサート時の滞在先ホテルで、性的な行為を繰り返していた。

当時、十名以上の元ジュニアたちが被害を打ち明けた。

〈マッサージは筋肉がほぐれて本当にうまい。でも、パジャマを脱がすと、すぐに口です。いつも歯が当たって、痛いんですよ〉(九九年十一月十一日号)」(文春)

この行為は青少年健全育成条例や刑法の強制わいせつ罪に抵触する可能性もあったと文春は批判している。

事務所は文藝春秋を訴えるも敗訴

だが、ジャニーズ事務所はすぐに動いた。1999年11月、文藝春秋に対して名誉毀損の損害賠償(計1億700万円)を求めて提訴したのである。

審理では、ジャニー喜多川氏本人や記事の中で証言した少年2人が出廷した。

姉のメリー喜多川氏を知る芸能関係者はこう語っている。

「メリーさんはジャニーさんを引責辞任させることも考えた。経営の舵取りをしているのはメリーさんだし、ジャニーさんは現場の演出家に専念すればいいと。でも、メリーさんは『やっぱり弟を見殺しにできない』と、翻意した」

法廷でジャニー喜多川氏は、こう証言している。

「彼たち(出廷して証言した少年たち=筆者注)はうその証言をしたということを、僕は明確にはいい難いです。はっきりいって」

そして、2003年7月に高裁判決が出た。判決文ではこう論じられている。

〈原告喜多川が(中略)セクハラ行為をしているとの記述については、いわゆる真実性の抗弁が認められ、かつ、公共の利害に関する事実に係るものである〉

その後、ジャニー喜多川氏側は最高裁に上告したが、2004年2月に棄却された。高裁判決が確定したのである。

文春は、今また過去のジャニー喜多川氏の件を持ち出した理由について、こういっている。