真ん中に十字線を引き、4つのスペースを作って…

A3の紙1枚にまとめるやり方ですが、目的は問題解決です。問題解決のために書類を作るのです。企画書でも報告書でも問題の解決です。

「機械が止まった」
「部品の納品が遅れた」
「予定していた新車の販促計画に支障が出た」
「コロナ禍で株主総会を開くにはどういう方法がいいか」
「新しい車のデザインプランの骨子は何か」

トヨタにおける仕事とは問題の解決のこと。新車を開発する企画書であっても、その前提にあるのは既存の車の売れ行きが落ちてきたという問題です。ですから、新商品の開発とは問題の解決なのです。

トヨタの書類の基本は問題の解決を考える書類です。企画書、報告書はその延長線上にあります。

前置きが長くなりましたが、まず紙を横にします。

そして、真ん中に十字の線を引いて、上下、左右の4カ所に分けます。左上には①問題を明確にして現状の把握を書きます。左下には②目標の設定を書く。

右上にはもっとも大切な③要因解析です。要因解析は「ブレークダウン」もしくは「なぜなぜ解析」とも呼ばれているものです。右下が④対策の立案です。これだけ書けばいい。

「原因」と「真因」は必ず分けて書く

よく「結論を最初に」と言われていますけれど、トヨタではそうはしません。結論だけ読んでも背景がわからなければ何の判断もできないからです。

では、実際にあったことを例にして説明していきましょう。生産現場で機械が故障し、ヒューズが飛んだ事例です。

① 現状把握

「生産ラインにおける機械故障と該当箇所のヒューズ切断」と見出しを書きます。本文には次のような感じですが、実際にはもっと詳細に書くでしょう。

「何月何日、アセンブリーラインで組み立てロボットが故障し、過電流が流れてヒューズが飛んだ」

② 目標設定

「過電流が流れた真因を見つけ、対策を施す」

これが目標です。

ここで大切なのは真因という言葉でしょう。真因とは「ある物事や現象、事件などを引き起こすもとになっている本当の原因」のこと。

ヒューズが飛んだ原因は過電流ですが、過電流になった原因が真因です。トヨタではヒューズを交換してそれで終わりではありません。ヒューズが飛ばないように真因を追求するのです。

同じように工場の床に釘が一本、落ちていたとしても、拾って終わりではありません。なぜ、そこに落ちていたか、どこから落ちたのか、落ちないためには何をすればいいか。そこまで考えるのがトヨタなんです。