教育と称して、気に入らないことがあると殴るように

その日を境にして、夫は自分の気に入らないことがあると頻繁に私を殴るようになりました。心も体も傷だらけになっていきました。夫の暴力は日増しに激しさを増し、最初は頭や顔を殴っていたのが、蹴りが入るようになり、ベルトなど物を用いて殴ることもありました。

夫の身長は180センチあるので、私は自分が殺されないように抵抗するだけで精一杯でした。「やめて!」と涙を流して怖がる私を見ると、彼は一層興奮して「ウソ泣きしてるんじゃない! 痛いわけがないだろう!」とさらに暴力をエスカレートさせました。

新婚当初からその芽はありました。言葉で威嚇する精神的暴力、生活費をくれない経済的暴力に続いて身体的暴力が始まったのです。夫は、自らの暴力を「教育だ」と正当化していました。ひとしきり暴力を振るい終わると、その後は突如として優しくなり「自分が悪かった」と言っては、私の望みを叶えてくれました。少し平穏な日々が過ごせると思っていても、再び暴力が爆発するという日々を繰り返しました。典型的なDV(配偶者暴力)でした。

寝室で女性を脅す男
写真=iStock.com/cyano66
※写真はイメージです

「これがサタンの仕業なら、魂を売ってしまいたい」

夫の寝顔を見ながら「このまま死んでくれないだろうか……」と思うようになりました。そんな感情を抱いてしまう自分に対して恐ろしさを覚えながらも、「いつか私が夫を殺してしまうかもしれない」と、そんな思いさえ抱き始めました。それだけこの時の私は、精神的に追い込まれていたのだと思います。

「これが統一教会のいうサタンの仕業であるのならば、喜んでサタンに魂を売ってしまいたい!」

この苦しみを一人で抱え込みました。心配するだろうと、母にも誰にも相談することができませんでした。真の愛や真の家庭(神を中心とした愛、またその家庭のこと)を説いている教会であるのに、万が一、親戚や知り合い、はたまた一般世間の人たちにまで知れわたるようなことだけは、絶対に阻止しなければいけない……。「そら見たことか!」とあざ笑う人々の顔が目の前に浮かびました。