「日本の消費は強い」はウソ
この数字をもって、「日本の消費は強い」とする報道もある。
だが、それは間違いである。これはいわゆる「統計マジック」である。
昨年8月には広い地域で「まん延防止等重点措置」が発出され、消費が抑制されていた。
前述の伸び率は前年同月比なので、「まん防」だった昨年8月と、何も発出されていない今年8月との比較では、数字が実態以上に開くのは当たりまえだ。
現に、同指標を前月(今年7月)と比較すると-1.7%であり、消費支出は2カ月連続で「マイナス」となっている。
「消費が強い」とする一部報道がいかにミスリーディングかがわかるだろう。
「コロナ前の水準を回復」はミスリード
このような「ミスリード報道」が多発している。
2022年4~6月期の実質GDPが「コロナ前の水準を回復した」という報道を目にした方も多いだろうが、これもミスリードだ。
コロナ前を「2019年10~12月期」と定義すれば、この報道は間違いではない。
しかし、2019年10~12月期は、2019年10月の消費増税でGDPが大きく落ち込んだタイミングである。
消費増税前の2019年7~9月期と比較すると、日本の実質GDPはまだ大きく落ち込んでおり、景気が正常化したとはとても言えない。
このようなミスリードを信じて、「コロナはもう終わった」と支援の手を緩めれば、多くの企業が倒産に追い込まれ、多くの人々が職を失うだろう。