手取り収入減…「戦後2番目の景気拡大」が聞いてあきれる
日本人の給与がいつまでも下げ止まらない。
国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、平均年収は1997年の467万3000円をピークに減少し、2020年は433万1000円と34万2000もダウンした。
また、厚生労働省の調査によると、2021年の物価などを加味した所定内給与の実質賃金はわずかにプラスになったものの2022年は再びマイナスに転じた。今年3月以降前年比プラス1%程度の賃金アップが続いている。しかし、最近の物価高を反映し、実質賃金は4月以降マイナス状態が続き、7月は前年比マイナス1.3%となっている(毎月勤労統計調査、現金給与総額)。
賃金アップが物価高に追いつかず、可処分所得は確実に減少の一途をたどっている。物価高だけではない。給与から天引きされる社会保険料もこの20年間に膨れ上がり、手取り収入自体も減少している。
例えば厚生年金保険料率は2017年に上限の18.3%に達し、健康保険料率も医療費増で10%前後に達している。これらは労使折半なので本人負担は14.15%。30万円の月給の人だと毎月4万2450円が天引きされていることになる。
もちろんそのほかに介護保険料や雇用保険料なども差し引かれる。北見式賃金研究所の北見昌朗所長はプレジデントオンライン(2022年8月30日)で、前出の民間給与実態統計調査の97年の平均年収が2020年に減少しているにもかかわらず、社会保険料はその間に年間15万8000円、住民税は12万1500円もアップしていると試算している。さらに消費税増税分と物価反映分を加えた実質収入は1997年に比べて84万5800円も減少していると試算している(いずれも「非正規含む勤労者」)。
少子高齢化の影響で年金財政の悪化や医療費増により、たとえ給与が減っても天引きされる公的保険料は増大していく。加えて国と地方の財源を補填する税金の増税が追い打ちをかけ、家計を直撃していることがよくわかる。
ところで本丸の給与はなぜ減少しているのか。