増税のほか、医療費・年金負担増が国民を襲う

国民を救うどころか、「国民窮乏策」が現在進行形で進められている。

消費減税を検討すらしないだけでなく、さらなる増税が議論されている。

政府税制調査会やGX実行会議において、「消費税の引き上げ」「EV(電気自動車)に対する走行距離に応じた課税」「炭素税」など、さまざまな増税が検討されている。

物価高の影響で家計の消費が弱いのは前述の通りだが、高齢者は今年6月から年金支給額を減らされている。その上10月からは後期高齢者の医療費負担も増えている。

「国民窮乏策」はまだまだある。

厚生労働省は2025年の次期年金制度改正に向けた議論を始めている。制度改正案の1つとして、納付年数を現状の40年から45年へ延長すること、厚生年金の適用対象を拡大することを検討していると報じられている。

若年層の将来不安の1つに年金があるわけだが、年金財政が厳しい理由として、よく2つの理由が挙げられる。

1つ目は少子高齢化の進展、2つ目はデフレが続き、寿命の延びや働き手の減少に合わせて給付額を抑える「マクロ経済スライド」が想定通りに発動しなかったというものだ。

だが、少子高齢化やデフレは20年以上前からの課題である。政府が無策のまま放置してきたツケが回ってきたにすぎない。

政府の無策がまねく「亡国への道」

「一事が万事」という言葉があるが、こうした政府の無策こそ、日本経済をダメにした元凶ではないだろうか。

中国では習近平政権が異例の3期目に突入することが確定したが、新体制をみていくと、かなり独裁色の強い人事になったことが分かる。

党大会における活動報告や決議された文書をすべて原文で読んだが、どうやら台湾侵攻の可能性は高まったと考えてよさそうだ。

昨年、米国のインド太平洋軍のデービッドソン前司令官が「2027年までに中国による台湾侵攻の脅威が顕在化する可能性がある」と指摘したことは記憶に新しい。

しかもこの10月には、米国の海軍制服組トップのマイケル・ギルデイ作戦部長が「中国による台湾侵攻が今年中か来年中にも起きる可能性を排除できない」と、前倒しで警告している。

デービッドソンが指摘した「2027年」は、習近平政権の3期目が終了する年であり、人民解放軍の創立100周年というタイミングでもある。

また、2024年には台湾の総統選、米国大統領選がある。

中国が台湾独立派とみなす民進党が勝利を収め、対中強硬派が多い共和党が米国大統領選で勝つことになれば、2024年以降、中国は台湾侵攻をやりづらくなるだろう。

そう考えると、「台湾侵攻は今年中または来年中」と指摘するギルデイの指摘は、必ずしも不安をあおるだけのものとは言えない。

日本政府は差し迫った有事にどうやって国民を守るのだろうか。

現在、防衛費の引き上げが議論されているが、その財源として「つなぎ国債」からの「所得増税」や、「防衛納税」といった謎の概念が飛び出ている。

有事に国民を守るため、国民をますます窮乏させるのは本末転倒ではないのか。

政府はいま一度、国民の生命と安全を守るという国家の基本に立ち返り、目先の対策と、中長期的な戦略を打ち出す必要があるのではなかろうか。

それができなければ、亡国への道を歩むことになりかねない。

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