どうやって信用ポイントを増やしていくか

僕は「世の中からの信用度がゼロ」、もっと言えばマイナスの状態をよく知っています。人並みの学歴もなく、満足な教養もない状態で社会に出ましたから、そこは強く自覚して生きてきました。

現実として、いい大学を出ていたり国家資格を持っていたりすると、それだけで幾ばくかの信用ポイントは得られるものです。僕は、このままでは世の中から信用されずに一生が終わってしまうという焦りを抱えながら、一生懸命に働いてきました。

ただし、信用される人間を目指すと言っても、正規のルートや「こうすればいい」というわかりやすいノウハウがあるわけではありません。「信用学」なんていう学問は存在しないのです。日々の営みを通して、地道に、コツコツと積み上げていくしかない。

お金の使い方は信用を左右するものです。つまらないことや自分のためだけに浪費している人は、なかなか信用されないでしょう。

また、発言や行動のひとつひとつ──たとえばあいさつの仕方から言葉遣い、ものの食べ方や生活習慣など──は、信用できる人かどうかを判断する要素になります。法やみんなで決めたルールを犯さないなど、社会規範を遵守することもそのひとつでしょう。人に優しく、思いやりを持って接するといったコミュニケーションも大事です。

信用の「貯金」がしあわせにつながる

もちろん、人からの信用を得るためには誰かの役に立つ仕事をすることが欠かせません。まじめに、誰かのために働くこと。期待値を上回る結果を出すこと。仕事で感動を与えること。社会をよくするために働くこと。周りの人を助けること。

松浦弥太郎『僕が考える投資について』(祥伝社)
松浦弥太郎『僕が考える投資について』(祥伝社)

信用を積み重ねるためのこうした生き方は、淡々としながらも豊かで、しあわせな日々をもたらします。

僕はこれらを、「いつか自分もこんなふうになりたいなあ」と憧れていた先輩方から学びました。直接何かを教わることはなかったけれど、見て覚えて、自分なりにやってみたという感じです。彼らもまた、「どうしたら自分が世の中や周りから信用されるのか」を一生懸命考えていましたから。

どうすれば信用に足る人間になれるかをよく考えて、日々を過ごしましょう。一朝一夕にはできませんが、毎日少しずつ信用を貯める。そんな日々を送る中で、しあわせを感じることができるはずです。

やるべきことを、今日も淡々と。

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