投資とはなにか。エッセイストの松浦弥太郎さんは「投資とは、先の未来について考え、行動すること。僕は健康状態や体力、体型などを含めて、未来の自分がなるべく理想の状態に近づけるよう、毎日自分で生活をコントロールしている」という――。(第1回)
※本稿は、松浦弥太郎『僕が考える投資について』(祥伝社)の一部を再編集したものです。
最大リターンを得られる「自己投資」
「先の未来について考え、行動すること」が投資だと言いました。投資の対象は、企業の株式といった「自分以外」ではなく、「自分自身」。自分をよく知り、よく考え、未来の自分のために行動するということです。
つまり自分への投資、いわゆる「自己投資」こそが初めにすべき投資であり、最大リターンの投資なのです。資産ではなく自分を大きく成長させていくために、「お金」や「時間」、そして「心遣い」や「労力」をどのように投資していくかを考えていきましょう。
まず、自己管理は最大の投資と言えます。健康で元気で過ごせることが、あらゆる投資の基本です。
巨万の富を得たとしても、病気で寝込んでいたら、それを満足に使うことも叶いません。内から湧き出るエネルギーがなければ、旅に出たいとも思わないでしょう。たとえ仕事で大きなチャンスを与えられても、心身ともに充実していなければいい結果も残せないのです。
僕は健康状態や体力、体型などを含めて、未来の自分がなるべく理想の状態に近づけるよう、毎日自分で生活をコントロールしています。これは「長生きしたい」「若々しくいたい」といった表面的なことに関する願望ではなく、ずっと自分で自分をケアできる状態でいたいということです。
10年後も20年後も現役で働くだけの体力を持っていたいし、毎朝気持ちよく起きて、満足して寝たい。さらに歳を重ねたときにも、自分の足で歩きたいし、自立した生活を送れる自分でいたい。
そんな「望む未来」を描いているのです。