失敗したら「次はこうしてみよう」でいい

自己管理への投資にも、オンリーワンの正解はありません。人によって体質も生活スタイルも目指す状態も違いますから、ひとつずつ試し、一番心地いい方法を探っていくことでしか答えに辿り着くことはできないのです。

投資ですから失敗することもあるでしょう。「このやり方ではパフォーマンスが上がらないな」といった反省もあるかもしれません。

でも、「じゃあ、次はこうしてみよう」と失敗を学びへと、すぐに切り替えられるのが自分への投資のいいところです。それに金融投資と違い、ある程度勉強してから始めれば、何かを大きく失うこともないでしょう。

僕はこうした生活にまつわる投資を、30代のころからずっとつづけてきました。ですから食事にしても、睡眠、運動にしても、自分なりに決めている習慣がたくさんあります。旬のものをおいしく食べること、夕食後にウォーキングをすれば調子がいいとか、ひとつずつ見つけてきました。

そのおかげでしょう、年齢と共に多少は集中力や瞬発力が落ちたなあと感じることはありますが、体調の面ではあまり昔と変わらず元気に暮らせていますし、太ったり、疲れて動けなくなったりということもありません。

「あるべき姿」が日々の指針になる

そして、今日が未来につながっていることを忘れずに、きちんと「未来」を考えていくことで、暮らしがていねいになっていきます。

たとえば『暮しの手帖』の編集長時代、どれだけ忙しい時期でも、仕事に集中している日でも、食べることを疎かにすることだけはありませんでした。一食抜いたり、空腹を満たすだけの食事をすることはなかったのです。

松浦弥太郎『僕が考える投資について』(祥伝社)
松浦弥太郎『僕が考える投資について』(祥伝社)

それは、僕の優先順位として、食事よりも仕事が上回ることはなかったから。先の未来の自分のために、そう決めていたからです。健康を損なったら仕事なんてできなくなるのですから、僕にとっては当たり前のことでした。

とはいえ、「絶対にこうしなければならない」とストイックに生きているわけではありません。暮らしの中で「まあ、今日は仕方ないか」とあきらめてしまうこともあります。それでも、日常の「あるべき姿」が定まっていることは、日々の指針になるものです。

ストレスのないやり方で、「食事、睡眠、運動」の自己管理をきちんと考えていきましょう。決して侮ってはいけません。数年後、数十年後の、自分の姿を想像して。

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