ベテラン塾講師は子供のどんな様子に注目しているのか。学習塾STUDYHOUSE代表の須合啓さんは「たとえば『茶色いお肉弁当』がずっと続く子は要注意だ。子供の好みにあわせてお弁当をつくっているのだろうが、そうすると難しい問題から逃げるクセがついてしまう。親の行動は子供に深い影響を与えてしまう」という――。(第1回/第3回)

※本稿は、須合啓『自分で考えて動ける子の育て方 「早くして!」「勉強しなさい!」「片づけなさい!」はもう言わない』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

茶色いお弁当
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心配されているのは子供ではなく保護者

私の塾に来るお母さんから、次のような悩みが毎日のように寄せられています。

「うちの子って、全然自分から動こうとしないんです。進んでやることといったらゲームくらいなので、私もついカッとなって『早くして!』『自分でやりなさい!』なんて怒鳴ってしまって、いつも自己嫌悪なんです……。どうしたらいいでしょうか?」

きっとあなたもこの気持ち、よくわかるのではないでしょうか。

まずお伝えしたいのは、「心配いらないですよ!」ということです。子どもは、まだまだいろんな経験を積み重ねている最中です。だからこそ、新しいことに挑戦する勇気が出なかったり、自分から動けなかったりしても、それは当たり前です。

私たちおとなが何も言わなくても、パッとお手伝いができたり、玄関の靴をそろえられたり、最初からそんなに物わかりのよい子はいません。ですから、もしあなたの子どもが多少おっとりしていたり、行動力がないと感じたりしても、思いつめる必要はまったくないのです。

先ほどもお伝えした通り、私は子どもたちのことは本当に心配していません。むしろ、子どもの才能や能力のすばらしさに、日々驚かされているばかりです。じつは私が心配なのは、お母さんやお父さんのほうです。なぜなら「子どもが自分で考えて行動できるようになるチャンスを奪ってしまっている」と感じることが少なくないからです。それはどういうことでしょうか……? これからじっくりお伝えしていきますね。