子供が落ち込んで家に帰ってきたとき、どんな声をかければいいのか。学習塾STUDYHOUSE代表の須合啓さんは「子供の話す内容を『オウム返し』で問い直すといい。『話を聞いてくれている』という実感を得やすいうえに、言い換え表現を加えれば子供の表現力も豊かになる」という――。(第2回/第3回)

※本稿は、須合啓『自分で考えて動ける子の育て方 「早くして!」「勉強しなさい!」「片づけなさい!」はもう言わない』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

リビングルームで母親から励まされる子ども
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親が不安なとき、子どもはその何倍も不安に思っている

受験に挑戦している家庭では、親御さんの不安が子どもによくない影響を及ぼしてしまうことがあります。たとえば、子どもが勉強を重ね、成績も予定通り右肩上がりになっているにもかかわらず、親御さんが不安なあまり、不確かな情報に惑わされて、子どもに適切でない教材を与えてしまったり、通っていた塾をやめさせてしまったりするのです。

親だって人間ですから、不安に思うもの。そのことじたいは決して悪いことではありません。でも知っておいてほしいのは、「親が不安なとき、子どもはその何倍も不安に思っている」ということです。

受験に限らず、未知のことへのチャレンジには必ず不安がともないます。もちろん、子どももおとなも関係ありません。では、子どもとおとなの違いは一体どこにあるのでしょう?

それは、自分の不安におびえてただ右往左往するのか、それとも、同じようにおびえている目の前の人の不安を想像し、手を差しのべる勇気を持てるかです。年齢は関係ありません。この勇気こそがおとなの証しであり、ゆくゆくは子どもにも身につけてほしい「共感」への第一歩になります。心の矢印を「内向き」ではなく「外向き」にすることが大切です。自分ではなく、まず人を助け、人を喜ばせましょう。

不思議なことですが、自分の不安を脇に置き、人のことを気にかけていると、自分の不安や恐れがいつの間にかやわらいでくるものです。ですから、自分のことには目をつむり、まずは子どもの不安に思っていること、子どもが気がかりになっていることに手を差しのべてください。そうした勇気ある行動によって、子どもの抱える不安はもちろん、自分の気持ちもだんだんやわらいでいくことを実感できるでしょう。