※本稿は、松浦弥太郎『僕が考える投資について』(祥伝社)の一部を再編集したものです。
社会に信用されるような働き方とは
「お金に好かれるためには、何より仕事にまっすぐ向き合うべきである」
「仕事をないがしろにしたり軽んじたりする人からは、お金が逃げてしまう」
第2回で紹介したように、お金と仕事は切っても切れない関係にあります。「信用スタンプ付きチケット」を誰よりも多くもらうためには、その信用に足るだけの仕事をしないといけませんし、そこでの働きぶりや、手渡されたチケットをどのように使うか(投資するか)によって、先々にもらえるチケットの枚数(収入)が変わってきます。
仕事とお金、また仕事と「どれだけ投資できるか」は、密接にかかわっているのです。
それでは、どうすれば社会に信用されるような働き方ができるのか。働く自分を高めるためには、どんな投資をすればいいのか。本稿では、そんなお話をしていきたいと思います。
10代後半から変わっていない仕事の基本
仕事の基本は、社会や誰かの「お役に立つこと」です。僕はこの先、できる限り長く働きつづけたいと考えていますが、それは、「できる限り長い間、世の中に貢献して生きていたいから」にほかなりません。
これは、社会に出た10代後半からずっと変わっていない、純粋な気持ちです。
僕は本当に、何も持っていない若者でした。お金はもちろんのこと、コネも実績も夢も資格も、これといって光る才能もありませんでした。
なかでも一番足りなかったのは、「学歴」という、社会を渡るうえで大きな威力を発揮するパスです。中学校もろくに通わず、高校には進学したものの挫折してしまい、「自分はここにいても意味がない」と、あっさり中退してしまいました。
17歳。周りに「最終学歴・中学校卒業」の知り合いなんて、ひとりもいません。まさに身ひとつで、その後どう生きていくかはあまり考えないまま、ある意味守られた「学生」という身分を捨てて社会に飛び出したのです。