働く自分を高めるにはどうすればいいのか。エッセイストの松浦弥太郎さんは「僕が働き始めてから心がけてきたのは、与えられた仕事を完璧にこなすだけでなく掃除や整理整頓を率先して実行すること。目の前にいる人たちをよろこばせることで、どんどん仕事がつながっていった」という――。(第3回)

※本稿は、松浦弥太郎『僕が考える投資について』(祥伝社)の一部を再編集したものです。

デスクを掃除する女性
写真=iStock.com/urbazon
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社会に信用されるような働き方とは

「お金に好かれるためには、何より仕事にまっすぐ向き合うべきである」
「仕事をないがしろにしたり軽んじたりする人からは、お金が逃げてしまう」

第2回で紹介したように、お金と仕事は切っても切れない関係にあります。「信用スタンプ付きチケット」を誰よりも多くもらうためには、その信用に足るだけの仕事をしないといけませんし、そこでの働きぶりや、手渡されたチケットをどのように使うか(投資するか)によって、先々にもらえるチケットの枚数(収入)が変わってきます。

仕事とお金、また仕事と「どれだけ投資できるか」は、密接にかかわっているのです。

それでは、どうすれば社会に信用されるような働き方ができるのか。働く自分を高めるためには、どんな投資をすればいいのか。本稿では、そんなお話をしていきたいと思います。

10代後半から変わっていない仕事の基本

仕事の基本は、社会や誰かの「お役に立つこと」です。僕はこの先、できる限り長く働きつづけたいと考えていますが、それは、「できる限り長い間、世の中に貢献して生きていたいから」にほかなりません。

これは、社会に出た10代後半からずっと変わっていない、純粋な気持ちです。

僕は本当に、何も持っていない若者でした。お金はもちろんのこと、コネも実績も夢も資格も、これといって光る才能もありませんでした。

なかでも一番足りなかったのは、「学歴」という、社会を渡るうえで大きな威力を発揮するパスです。中学校もろくに通わず、高校には進学したものの挫折してしまい、「自分はここにいても意味がない」と、あっさり中退してしまいました。

17歳。周りに「最終学歴・中学校卒業」の知り合いなんて、ひとりもいません。まさに身ひとつで、その後どう生きていくかはあまり考えないまま、ある意味守られた「学生」という身分を捨てて社会に飛び出したのです。